近況にかえて: 『大阪トラック』の路線変更(予告)

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近況: 太平洋関連で、煮詰まってます。


ところで太平洋繋がりですが、最近アメリカによる“インド太平洋戦略”が発表されるにあたり
https://t.co/JZAV26G4li
幾つかのブログで日本の“自由で開かれたインド太平洋”についても以前のように

“自由で開かれたインド太平洋戦略”

と表記されているのを見かけます。

……既に外務省などのHPでは『戦略』の文字が排除されているのですが、古株の方は「いやダイヤモンド構想が」「構想の軍事的部分はアメリカが引き継いで」とか粘ってしまうのですね。


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『戦略』の文字を外した件については、
https://tenttytt.hatenablog.com/entry/2019/02/25/214400
https://tenttytt.hatenablog.com/entry/2019/04/24/231422
でも触れていますが、『戦略』時代の構想と現在の“自由で開かれたインド太平洋”構想はかなりの部分に違いがあります。
古い構想の中に本質が現れることはありますが、自分の思考を細かくアップデートしないで古い考え方に固執すると、現在の状況が見えづらくなります。

特に日本の対外構想については、多くの発表や資料に目を通すだけでなく、発言のその場の真意をその言葉自体から汲み取ろうとしないと、移ろい易い国際情勢に取り残されてしまうのではないでしょうか。


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…さて、なぜこんな話から始めたかというと

安倍首相がダボス会議の場において、G20サミットの主要議題としていた“大阪トラック”ですが
https://www.kantei.go.jp/jp/98_abe/statement/2019/0123wef.html

どうも6/8~/9に開催されたG20茨城つくば貿易・デジタル経済大臣会合の結果、それまでと異なる定義に変更されてしまった可能性が高いからです。

特に外務省HPの内容を読む限り。
https://www.mofa.go.jp/mofaj/ecm/it/page4_005041.html

〉河野外務大臣からは,本セッションの開会挨拶において,多角的貿易体制の礎たるWTOがその役割を十分に担い続けられるよう,急速に進展するデジタル化が国際貿易のあり方を根本的に変容させている現実にWTOルールを適応させる必要がある旨を述べました。

〉さらに,その観点から)昨年G20首脳がブエノスアイレスで支持したWTO改革の重要な一要素として,WTOでの電子商取引の取組を重視しており,G20大阪サミットでは,「大阪トラック」としてWTOでの電子商取引のルール作りを進めるべく,政治的な後押しを与えたいと考えている旨発言しました。

“合同セッション(8日)の概要(河野外務大臣,石田総務大臣及び世耕経済産業大臣が共同議長)”
外務省HP『河野外務大臣G20貿易・デジタル経済大臣会合(茨城県つくば市)への出席(結果)』

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先に記しておきます。
私が以前文章にした“大阪トラック”の推論は

https://tenttytt.hatenablog.com/entry/2019/05/26/235743
現在各省庁の主張する定義が変更された現在、違ったものである事がほぼ確定しています。

情報のアップデートをお願いいたします。
お騒がせいたしました。

※というより貿易・デジタル経済大臣会合以来
“大阪トラック”という言葉は、同会合の共同声明やG20の主要テーマなどの場から姿を消してしまっています。


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この“大阪トラック”の定義がいかにして変更されるに至ったかについては、来月改めて文章にしようと思いますが、とりあえず先に要点を記しておくと

首相としては貿易・デジタル経済大臣会合のギリギリまでDFFT(Data Free Flow with Trust)のプロセスとして“大阪トラック”をG20の場で提唱することにこだわったが、
一部閣僚や省庁により、G20の場で賛同されやすいWTO関連事項に定義変更させられた上、DFFTと共に主要議題からフェードアウトさせる事になったのではないか

という事です。


そして一部メディアでは
https://www.google.com/amp/s/mainichi.jp/articles/20190610/k00/00m/020/297000c.amp
G20閣僚2会合閉幕 「自由なデータ流通」共同声明に デジタル対応では前進”

読売新聞 2019/06/10

〉ただ「国内的、国際的な法的枠組みの双方が尊重されることが必要」と国内法でデータを囲い込む中国などに配慮した文言も盛り込まざるを得なくなり、今後のルール作りの難しさを浮き彫りにした。

……と、妥協の結果のように記された部分こそが
失われた“大阪トラック”や後退した“DFFT”の唯一残された本質ではないか、
という事です。


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『大阪トラックの路線変更(1)』
以降、上記要点の苦しい説明が始まります。
https://tenttytt.hatenablog.com/entry/2019/06/29/204100

なお、大阪トラック関連文章の目次は
https://tenttytt.hatenablog.com/entry/2019/06/29/223127
こちらのURLまでお願い致します。