近況にかえて: 『大阪トラック』の路線変更

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近況: 太平洋関連で、煮詰まってます。


ところで太平洋繋がりですが、最近アメリカによる“インド太平洋戦略”が発表されるにあたり
https://t.co/JZAV26G4li
幾つかのブログで日本の“自由で開かれたインド太平洋”についても以前のように

“自由で開かれたインド太平洋戦略”

と表記されているのを見かけます。

……既に外務省などのHPでは『戦略』の文字が排除されているのですが、古株の方は「いやダイヤモンド構想が」「構想の軍事的部分はアメリカが引き継いで」とか粘ってしまうのですね。


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『戦略』の文字を外した件については、
https://tenttytt.hatenablog.com/entry/2019/02/25/214400
https://tenttytt.hatenablog.com/entry/2019/04/24/231422
でも触れていますが、『戦略』時代の構想と現在の“自由で開かれたインド太平洋”構想はかなりの部分に違いがあります。
古い構想の中に本質が現れることはありますが、自分の思考を細かくアップデートしないで古い考え方に固執すると、現在の状況が見えづらくなります。

特に日本の対外構想については、多くの発表や資料に目を通すだけでなく、発言のその場の真意をその言葉自体から汲み取ろうとしないと、移ろい易い国際情勢に取り残されてしまうのではないでしょうか。


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…さて、なぜこんな話から始めたかというと

安倍首相がダボス会議の場において、G20サミットの主要議題としていた“大阪トラック”ですが
https://www.kantei.go.jp/jp/98_abe/statement/2019/0123wef.html

どうも6/8~/9に開催されたG20茨城つくば貿易・デジタル経済大臣会合の結果、それまでと異なる定義に変更されてしまった可能性が高いからです。

特に外務省HPの内容を読む限り。
https://www.mofa.go.jp/mofaj/ecm/it/page4_005041.html

〉河野外務大臣からは,本セッションの開会挨拶において,多角的貿易体制の礎たるWTOがその役割を十分に担い続けられるよう,急速に進展するデジタル化が国際貿易のあり方を根本的に変容させている現実にWTOルールを適応させる必要がある旨を述べました。

〉さらに,その観点から)昨年G20首脳がブエノスアイレスで支持したWTO改革の重要な一要素として,WTOでの電子商取引の取組を重視しており,G20大阪サミットでは,「大阪トラック」としてWTOでの電子商取引のルール作りを進めるべく,政治的な後押しを与えたいと考えている旨発言しました。

“合同セッション(8日)の概要(河野外務大臣,石田総務大臣及び世耕経済産業大臣が共同議長)”
外務省HP『河野外務大臣G20貿易・デジタル経済大臣会合(茨城県つくば市)への出席(結果)』

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先に記しておきます。
私が以前文章にした“大阪トラック”の推論は

https://tenttytt.hatenablog.com/entry/2019/05/26/235743
現在各省庁の主張する定義が変更された現在、違ったものである事がほぼ確定しています。

情報のアップデートをお願いいたします。
お騒がせいたしました。

※というより貿易・デジタル経済大臣会合以来
“大阪トラック”という言葉は、同会合の共同声明やG20の主要テーマなどの場から姿を消してしまっています。


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この“大阪トラック”の定義がいかにして変更されるに至ったかについては、来月改めて文章にしようと思いますが、とりあえず先に要点を記しておくと

首相としては貿易・デジタル経済大臣会合のギリギリまでDFFT(Data Free Flow with Trust)のプロセスとして“大阪トラック”をG20の場で提唱することにこだわったが、
一部閣僚や省庁により、G20の場で賛同されやすいWTO関連事項に定義変更させられた上、DFFTと共に主要議題からフェードアウトさせる事になったのではないか

という事です。


そして一部メディアでは
https://www.google.com/amp/s/mainichi.jp/articles/20190610/k00/00m/020/297000c.amp
G20閣僚2会合閉幕 「自由なデータ流通」共同声明に デジタル対応では前進”

読売新聞 2019/06/10

〉ただ「国内的、国際的な法的枠組みの双方が尊重されることが必要」と国内法でデータを囲い込む中国などに配慮した文言も盛り込まざるを得なくなり、今後のルール作りの難しさを浮き彫りにした。

……と、妥協の結果のように記された部分こそが
失われた“大阪トラック”や後退した“DFFT”の唯一残された本質ではないか、
という事です。

続きは、来月までもう少しお待ち下さい。

おまけ:大阪トラックとファーウェイ制裁

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『首相欧州訪問と欧州議会選挙』
のおまけとして。

なお、本論に当たる『首相欧州訪問と欧州議会選挙』については、下記URLにある目次をご覧頂ければ幸いです。
https://tenttytt.hatenablog.com/entry/2019/05/23/194237


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前回の『首相欧州訪問と欧州議会選挙(5)』

〉“大阪トラック”声明の成否は、ファーウェイへの禁輸措置の末、主導権をアメリカに握られてしまいました

と書きました。

一般的には“大阪トラック”とファーウェイ制裁が無関係と考えられているようですので、その理由について。


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1.『大阪トラック』の一般的予想


現在、デジタル関係の専門家やこの方面に強みを持つ政治家により伝えられる『大阪トラック』の予想についてをまとめると、


1) 新たなデータガバナンス構築という考え方

……ダボス会議での首相による

〉データ・ガバナンスに焦点を当てて議論するトラック、大阪トラックとでも名付けて、この話合いを、WTO世界貿易機関)の屋根の下、始めようではありませんか。
 (中略)
〉そこで、私たちがつくり上げるべき体制は、DFFT(データ・フリー・フロー・ウィズ・トラスト)のためのものです

という一連の発言のうち特に“ウィズ・トラスト”の部分、即ちデータガバナンスの枠組みを重要視し、

◎現行のデータガバナンス・ポリシーの3つの主流、

  • (国内外を問わず)収集した個人情報を自らが独占管理し、それらのビッグデータを国内企業により積極活用させる一方で、国外との情報共有を拒否する中国
  • 個人情報について、個人それぞれが使用可否を判断した上で活用出来るよう、収集活用する側に対して特に厳しいルールを設定するEU


これらに対抗する新たなデータガバナンスを立ち上げ、ASEANなどで運用すること。


2) データの種類による流通基準の設定
 特に機密・知産・個人情報保護の取決め

ダボス会議での

〉一方では、我々自身の個人的データですとか、知的財産を体現したり、国家安全保障上の機密を含んでいたりするデータですとかは、慎重な保護の下に置かれるべきです。

〉しかしその一方、医療や産業、交通やその他最も有益な、非個人的で匿名のデータは、自由に行き来させ、国境をまたげるように、繰り返しましょう、国境など意識しないように、させなくてはなりません。

〉そこで、私たちがつくり上げるべき体制は、DFFT(データ・フリー・フロー・ウィズ・トラスト)のためのものです。非個人的データについて言っているのは申し上げるまでもありません。

という首相発言をそのまま受け止め、

◎国際的なデータ流通社会を前提として、そのうち『個人・知的財産・機密情報』を区分けして完全に保護するルールを提言すること。


……とりあえずこの1) 2)の二つが一般的となっているようです。


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※更にダボス会議の丁度前日(2019/01/22)に経団連が発表した
『新たな時代の通商政策の実現を求める
世界貿易機関WTO)の改革を中心に―』

http://www.keidanren.or.jp/policy/2019/004.html

こちらに引きずられる形で、

◎以前から提唱されている電子商取引の円滑化・自由化、信頼性構築など現実に則した形に、WTO電子商取引ルール改定を呼びかける事

を“大阪トラック”に含める方もいるようですが、こちらはさすがに無視します。

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※2019/06/16追加:
なんと、この文章作成時には無視していた
“大阪トラック=WTO電子商取引ルール作り”という解釈が、6/8のG20貿易・デジタル経済大臣会合の場以降主流となってしまいました。
https://tenttytt.hatenablog.com/entry/2019/06/16/114924

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この1) の捉え方では、
中国メーカーの締め出し、あるいは中国による機密情報収集の恐れの側面から論じられるファーウェイ制裁と“大阪トラック”に関係はあまり見られませんし、
2) では『機密・知産・個人情報の完全保護』という“大阪トラック”とファーウェイ制裁は全く同じ方向を向いている、と言えるでしょう。

そのため、ファーウェイ制裁がG20での“大阪トラック”議案を牽制している、という発想がなかったのではないか、と思われます。


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2. 新ガバナンスでも個人情報の完全保護でもなく


しかし1) 新ガバナンス構築という捉え方の問題点は
他国による既存のデータガバナンスに対抗するような提案は、ダボス会議G20サミットの目玉としては相応しくない、
という事です。

前回のサミットでは米中貿易の対立ゆえに採択されなかった
『全ての不公正な貿易慣行を含む保護主義と闘う』

という言葉にこだわり続け、今年に入ってのイギリス・スペイン訪問の際にも共同声明に盛り続けた、国際協調重視の立場の首相が、

データガバナンスシステムを他国に対抗して構築、とりあえず既にシステム確立した国に干渉しない場所で施行する事を、新たなG20サミットの目玉として提唱するとは考えがたい、と思われます。


また、2) 機密・知産・個人情報の完全保護ルールという捉え方については、実は発言内で

〉医療や産業、交通やその他最も有益な、非個人的で匿名のデータは、自由に行き来させ、国境をまたげるように

と語っております。

実は非個人的処置を施した個人情報は「最も有益な非個人データ」であり、国際的に収集・活用される対象としていることに注目すると、
実は“大阪トラック”では発言の印象とは裏腹に、個人情報がデータとして収集されるべきであり、活用の際に非個人的処置を施せば良い、という考え方が前提にあるのです。


……それ故に、私は“大阪トラック”とは

現在別個の主流システムでデータガバナンスを行う各国のポリシーを尊重しながら、全ての収集データの自由な流通を段階的に推進するため、
WTOの屋根の下で「データ収集ルール」「収集後のデータ取扱いルール」の両者のガイドライン、更に各国の取組進捗に合わせて前者→後者に向かうためロードマップまで視野に入れた提言を行うもの
ではなかったか、と考えています。

※後者の「データ収集後の処理」状況が他国のデータガバナンス・ポリシーに抵触しないものとなれば、前者の「収集に関する制限」は必要性を減らせ、より多くのデータ収集・活用が可能になる訳です。


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3. 自民党政務調査会の『第一次提言』から見る大阪トラック

ここで、自民党政務調査会が2019/04/23に作成した
デジタル・プラットフォーマー(GoogleAmazonなど)を取り巻く課題と対応策についてまとめられたレポート、

『デジタル経済における公平・公正なルールづくりに向けて(第一次提言)』
(以下『第一次提言』)
自民党HPより
https://www.jimin.jp/s/news/policy/139477.html

こちらをご覧下さい。

………………………………………

〉……デジタル・プラットフォーマーは、21 世紀型デジタル資本主義を象徴する存在となっている。プラットフォーマーを通じて、消費者は飛躍的な利便性の向上を享受でき、事業者は海外を含む大きな市場にアクセスできる。

〉他方で、プラットフォーマーは、独占化しやすく、その独占的な地位が濫用されれば、消費者や事業者に悪影響を及ぼすとの懸念が国際的にも指摘されており、世界的にも公平・公正なルールづくりが進められている。

………………………………………

デジタル・プラットフォーマーとはまさに電子情報を収集・活用している自国内集団であり、彼らに対するそれぞれの国家の対応こそデータガバナンスの土台である訳ですが、
今回のレポートの主旨は、新しい日本のデータガバナンス体制について

  • 事業者に対する独占優位・消費者に対する個人情報の透明性確保などに対する、公正取引委員会主導の対応策
  • 国外との諸制度を調整し、異なる所属国家による競争環境の違いを削減するための専門機関設置

などを提案しています。


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そして、「5. イノベーション促進」の章を見てみると、興味深い記載があります。

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〉21 世紀型のデジタル資本主義において、幅広い国民が成長の果実を受けるためには、何よりも我が国が世界に先駆けてイノベーションを生み出すことが重要である。

〉上記のデジタル・プラットフォーマーに関するルール整備も、あくまでデジタル経済におけるプラットフォーマーの取引の公正性・透明性を確保することで、競争を促すためのものであり、GAFA など特定のプラットフォーマーを規制することを目的とすべきではない。

〉また、経済社会のデジタル化が、世界を便利で革新的なサービスが溢れ、イノベーションが次々生み出される「ユートピア」とするのか、国家が全面に出て監視社会を強く意識する「ディストピア」となるのか、世界的に大きな岐路に立っており、その意味でも、安倍総理ダボス会議で表明された通り、我が国として DFFT(データ・フリー・フロー・ウィズ・トラスト)をリードしていくことが重要である。

………………………………………

この『第一次提言』で主題となったプラットフォーマーへの取組も、これらの地ならしの末生まれるデータガバナンスも、共に日本国内のための整備に過ぎず、
安倍首相が“大阪トラック”と呼んだ「WTOの屋根の下でのDFFTの枠組み」自体とは別のものである事がここでも明示されています。


更にこの『第一次提言』から読み取れる事として、

  • “大阪トラック”では個人情報も経済社会のデジタル化に際して「国際的に活用されるべき」対象であること
  • “大阪トラック”の目的の一つが、国家による個人情報監視社会の蔓延防止であること
  • 日本国内のデータガバナンスの整備には、プラットフォーマーへの組織整備・法整備が必須であるが、そこでは国外との制度調整が重要視されていること。つまり日本国内の新しいデータガバナンスは米中EUの先行するガバナンス・ポリシーに対抗するものではないこと

があります。


……この『第一次提言』からも、“大阪トラック”がデータガバナンス自体を再構築したり、単に機密・知産・個人情報保護の国際流通基準を作ることに留まるものではなく、

国家により異なるデータガバナンス、特にアメリカ・中国・EUという3つの主要ガバナンス・ポリシーを尊重する前提で、
あらゆる国際データ流通の開放を段階的に拡充させるため、WTOの定める基準あるいはロードマップの下、各国家に対してデータガバナンスの修正制度を設ける事を指していた
のではないか、と考えられるわけです。


………………………………………

※あくまで『第一次提言』自体は自民党政務調査会私見であり、首相の提唱する“大阪トラック”とは異なる立場から考え出された内容ではあります。

ただし、日本の国内政策…“Society5.0”…こちらについては、後日別の形で文章にしようと思っています…を推進する立場から考え出された試案ですら、上記のように国際的な摺り合わせという視点を持っており、そこからもG20で首相が提言する内容との接点は十分だと考えられます。


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4. ロードマップとしての“大阪トラック”と、ファーウェイ制裁


そして、『第一次提言』で具体的に言及されていること(それ自体は日本版データガバナンスについての事ですから)の裏にある考え方、例えば

  • 個人による情報保護能力の限界に対する懸念
  • そして何より、他国がプラットフォーマーを介して自国の情報保護を阻害した上、国権によりその行為を正当化する懸念


これらのような、自国ガバナンスポリシーに抵触する他国の独自政策への懸念を払拭する方法として、
国家間の打ち消し合いではなく、WTOという国際機関の下で調整・すり合わせを行い合う仕組み作りこそ“大阪トラック”のひとつの狙い
だったではないか、と考えています。


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そして非個人化処理を行う前提で、個人情報が積極的に収集されることを拒否しない以上、
“大阪トラック”で摺り合わせなければいけない各国のガバナンスポリシーには、当然他国情報を無秩序に収集するバックドアに関するものも含まれるわけで、
当初の“大阪トラック”ではこのファーウェイを含めたバックドアを単に否定するのではなく、入手したデータの段階的活用まで含めて透明化・国際化ルールの俎上に上げる予定『だった』のではないか、と考えられるのです。

そしてアメリカによるファーウェイ制裁は、
アメリカが自国のガバナンスポリシー維持のために独自政策を打ち立て、他国に強要するという、“大阪トラック”の根幹を否定するやり方であり

トランプの真意や“大阪トラック”に対する感想はともかく、G20サミットでの主要議題採択に対する強力な牽制となっていた訳です。


……出来れば、G20の場で“大阪トラック”共同声明に誘導するため放った、中国向け牽制球であれば良いのですが……


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5. おわりに:


『首相欧州訪問と欧州議会選挙』からひと月ほど更新しない予定だったのですが、先週は情報待ちという事情があり、その間にひと文章書くこととしました。

本来ならばPV目当てに欧州議会選挙の結果でも書くべきなのでしょうが、選挙結果は本来の主題ではないですし、
欧州議会主流二派の大幅低下(54%→43%。但しマクロン所属政党が所属するALDEが加われば過半数だ、という向きもあるようです)やイタリア・フランスのポピュリスト右派躍進、ドイツがヘンテコリンな流れになるのは下馬評通り、という事で。

V4諸国ではポーランド与党PiSが踏ん張ったこと、スロバキアで新大統領チャプトバ(6月就任予定)を擁するEU寄りの野党PS-SPOLUが与党SMER-SDを上回ったこと位でしょうか。

『首相欧州訪問と欧州議会選挙』の流れとしては、
むしろ本日(2019/05/27)の日米首脳会談(特に冒頭共同記者会見で首相が述べ、トランプが触れなかったG20について)や、トランプ訪日が偶然欧州議会選挙の時期と重なっていたことに言及したいところですが……

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……いや、本当であれば5/22.23に行われたOECD閣僚理事会について調べるべきでした。
https://www.mofa.go.jp/mofaj/ecm/oecd/page4_004992.html

デジタル関連やWTOの話、更にスロバキアのペレグリニ首相が今年の議長だった事など色々盛り込まれてますね。沖縄・太平洋方面の情報収集に明け暮れて、すっかり見逃しておりました。



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首相欧州訪問と欧州議会選挙 目次

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2019/4/22~/29、安倍首相による欧米諸国訪問のうち特に欧州訪問について、特に5/23~/26の欧州議会選挙との関係にスポットを当ててまとめたものです。

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1. 首相欧州訪問(2019/04)と欧州議会選挙(1)

安倍首相の欧州訪問の概要について
https://tenttytt.hatenablog.com/entry/2019/05/05/211851

2. 首相欧州訪問と欧州議会選挙(2)

安倍首相が外遊で特に強調した『WTO改革』と
データ流通・ガバナンスへの新たな枠組み『大阪トラック』の概要
https://tenttytt.hatenablog.com/entry/2019/05/05/212131

3. 首相欧州訪問と欧州議会選挙(3)

首相外遊の理由について、特に今回イレギュラーの人選といえるイタリア副首相サルヴィーニにスポットを当てて
https://tenttytt.hatenablog.com/entry/2019/05/05/212511

4. 首相欧州訪問と欧州議会選挙(4)

サルヴィーニについて、欧州議会選挙及び選挙のもう一つの目玉、V4諸国(ハンガリーポーランドチェコ・スロバキア)にスポットを当てて
https://tenttytt.hatenablog.com/entry/2019/05/05/213104

5. 首相欧州訪問と欧州議会選挙(5)

首相欧州訪問の動機そのものについて、アメリカの欧州議会選挙への干渉と、トランプ-V4諸国首脳会談にスポットを当てて
https://tenttytt.hatenablog.com/entry/2019/05/20/194214

おまけ: 大阪トラックとファーウェイ制裁

大阪トラックとは何『だった』かという予想と、ファーウェイ制裁がG20サミットで大阪トラックを牽制する理由について
https://tenttytt.hatenablog.com/entry/2019/05/26/235743

首相欧州訪問と欧州議会選挙(5:完結)

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首相欧州訪問と欧州議会選挙(4)

https://tenttytt.hatenablog.com/entry/2019/05/05/213104
の続きとなります。

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6. アメリカの対欧州外交


なぜ欧州選挙のパワーバランスを重要視したか。

実のところパワーバランスを重要視したのは日本以上に、欧州の次に訪問したアメリ
ではないか、と考えています。


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以下は、安倍首相外遊が終了した5月以降のアメリカ及び関係諸国の活動を一覧にしたものです。

5/3

5/5

5/6

  • 米国務相、北極協議会にてロシア・中国糾弾。
  • 米国務相-ロシア外相会談

5/7

  • 米特別代表(対北朝鮮)、日本・韓国訪問

5/8

  • 米国務相-英国首相・外相会談
  • 米、対イラン貿易制裁追加(鉄鋼)
  • イラン、核合意一部撤回(余剰核燃料を国内貯蔵)
  • ロシア外相-イラン外相会談

5/9

  • 米国務相-ブラジル外相電話会談

5/10

  • 米中閣僚級通商協議、物別れに。

5/11

  • 米国務相、クレアモント研究所スピーチ

5/12

  • 河野外相-ロシア外相会談

5/13

  • 米国務相-英独仏外相会談予定(ロシア訪問短縮)
  • 河野外相-タイ外相会談
  • 河野外相-ASEAN事務総長会談

………………………………………

この5月に入ってから、アメリカは対イラン・ベネズエラ・中国・ロシアと、立て続けに攻撃的外交を繰り返しています。

一方EUに対する政策は、EUをターゲットとした自動車関税措置こそ期間延長されましたが
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2019-05-17/PRNHNB6S972C01
『トランプ氏、日欧自動車関税発動を180日延期-USTRに交渉指示』
Bloomsburg紙 2019/05/17
(米政府高官からの発表は5/15ですが、この当時既に延期の推測はされていました)

  • EU中枢国ドイツ首脳との会談を中止
  • イギリス首脳会談はスケジュールを組み直し実施
  • EU懐疑派の代表であるV4諸国首脳が(その多くが前月末には一帯一路フォーラムに参加したにも関わらず)トランプ大統領との会談を行う 

など、明らかに5/23~/26の欧州議会選挙を目前に、EU加盟国のパワーバランスを懐疑派寄りに崩しかねない活動を繰り返していたのが判ると思います。


なお、EU懐疑派の代表であるV4諸国(ハンガリーポーランドチェコ・スロバキア)への交渉は、既に2019年2月のポンペオ外遊を皮切りに行われており
https://emerging-europe.com/intelligence/the-us-has-not-given-up-on-central-europe/
アメリカは中央ヨーロッパをあきらめていない』
Emerging Europe紙 2019/02/22

約2ヶ月後に行われた安倍首相V4諸国訪問は、丁度このポンペオ外遊の跡をなぞる形であり、また5月以降相次ぐV4首脳陣の訪米に先駆ける形で行われたものだった訳です。

https://spectator.sme.sk/c/22112974/trump-i-would-love-to-visit-slovakia.html
『トランプ:私はスロバキアを訪問したいと思います』
Slovakia Spectator紙 2019/05/04

https://www.voanews.com/a/trump-czech-prime-minister-babis-have-much-in-common/4818573.html
『トランプとチェコ首相は共通点が多い』
Voice of America紙 2019/05/08

https://edition-m.cnn.com/2019/05/13/politics/trump-hungary-viktor-orban/index.html?r=https%3A%2F%2Fwww.google.com%2F
『過去の大統領が避けたハンガリー最右翼のナショナリスト首相を、トランプは歓迎します』
CNN 2019/05/14


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……なお、このV4諸国首脳とトランプ大統領の会談については、ハンガリーと並ぶEU懐疑派のポーランドのみ後回しとなっています。


特にモラヴィエツキ首相の4/18訪米時、トランプ大統領はおろか会談に応じた閣僚がいなかった、というアメリカ側の冷淡な対応が話題となりました。

〉“トランプの人々はモラヴィエツキを避けます”
〉ニューヨークに加えて、Morawieckiはまたシカゴを訪問し、そこで彼は映画「ポーランド:王室ツアー」の初演に参加し、そこで彼は監督をピーターグリーンバーグに見せる。彼はアメリカ政権のいかなる代表とも会わなかった。

http://wyborcza.pl/7,75399,24682108,morawiecki-w-usa-zmiany-w-sadownictwie-jak-rozliczenie-z-francuskimi.html?disableRedirects=true
アメリカでのモラヴィエツキ首相:フランスの共同研究者との和解としての司法制度の変化』
Wyborcza.pl紙 2019/04/19


これには2019/02/13にポーランドで行われた中東和平会議の際、
https://www.google.com/amp/s/www.sankei.com/world/amp/190214/wor1902140007-a.html
『米主導の中東会議開催 イラン包囲網目指すも欧州と溝』
産経新聞 2019/02/14

あまり政治的でない理由により、主催国であるポーランドと、中東からの数少ない参加同盟国イスラエル間の関係が悪化、
https://www.google.com/amp/s/jp.mobile.reuters.com/article/amp/idJPKCN1Q800P
ポーランドイスラエルとの首脳会談中止 ホロコースト巡る発言で』
Reutet紙 2019/02/18

ポーランド政府の発表により、同月に予定されていたV4+イスラエルサミットが中止に至る程の状況となった事が
https://www.lidovky.cz/svet/summit-v4-v-jeruzaleme-se-rusi-kvuli-neucasti-polska-ktere-pobourily-vyroky-netanjahua-o-holokaust.A190218_121941_ln_zahranici_form

ホロコーストに関するネタニヤフの声明を憤慨したポーランド離脱のため、エルサレムのV4サミットは廃止』

Lidovky紙 2019/02/18

当時イスラエル側の肩を持ったポンペオ米国務相の発言を含めて、
https://www.timesofisrael.com/pompeo-in-poland-urges-the-country-to-pass-holocaust-restitution-legislation/
ワルシャワでは、ポンピオはポーランドホロコースト補償法を可決するように促します』

The Times of Israel紙 2019/02/14

アメリカとの距離感、更には一帯一路フォーラムにV4諸国で唯一不参加、という形で中国との距離感にまで影響したと見られます。


5/13に駐ポーランド大使モスバッハがツイッター
https://mobile.twitter.com/usambpoland/status/1127877931911589888
〉繰り返しますが、JUST法(447)は誰にも経済的または法的な負担をかけません。これは米国議会のための一回限りの報告であり、その目的は賠償の分野における諸国の活動の進展を分析することです。

と述べ、更にアンジェイ・ドゥダ大統領が訪米する6/12にトランプ大統領夫妻が会談に応じる旨、5/15に公表され(ドゥダ大統領の訪米は当初から予定されていましたが、会談については「交渉中」のままでした)、
いわば欧州議会選挙に向けたアメリカ側のバスに、ギリギリで乗り込んだ格好となりました。
https://pl.usembassy.gov/pl/komunikat_duda/


4/23の日本-ポーランド首脳会談には、このような不安定な立場にあるモラヴィエツキ首相の意向を探る意味が含まれていたでしょうし、この会談の冒頭でモラヴィエツキ首相から
https://www.mofa.go.jp/mofaj/erp/c_see/pl/page6_000296.html
〉前回お会いしてから期間をおかずに会えて嬉しい

という発言があったのも、この辺りの日本の真意を汲んだものだと思われます。


トランプ大統領が数多の反対に応じず、5/13にハンガリー首相との会談を行ったのは、このポーランドの事例と真逆の構図だったと考えられます。

〉“「公正でバランスの取れた立場でイスラエルに対応する場合、アメリカとハンガリーは同じ側にいるでしょう。EUは多くの問題に関してハンガリーの立場とは異なる立場をとっているが、ハンガリーは必要に応じて(EUとの)団結を破り拒否権を主張する用意がある」とオルバン首相は付け加えた”
https://thehungaryjournal.com/2019/05/15/szijjarto-trump-and-orban-share-similar-approaches-in-many-issues/
『Szijjarto:トランプとオルバンは多くの問題で同様のアプローチを共有しています』
Hungary Journal 2019/05/15

この会談でオルバン首相は、イスラエルとの国交について触れていましたが、恐らくはこのポーランドの轍は踏むまいと神経を尖らせていたからなのでしょう。


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7. 日米タッグ外交における日米の思惑


……外務省HPでも「状況が許す限り」という前提であった5/12のロシア、或いは発表当時はタイミングを疑問視されていた4/28のサウジアラビアとの外相会談の様に、この時期の日本・アメリカの外交は

何らかの理由で会談が難しい他国とのコンタクトを望む場合、比較的接点の多いもう片方の国が事前に当該他国との根回し交渉に臨んだり、
或いは両国首脳が立て続けに対象国と会談を行うような、アメリカとのタッグ外交の形をとる
ことが増えていました。


その流れから考えて、今回の首相欧州訪問国決定の決め手となったのは恐らく

2月にポンペオ国務相が打った布石を確認し、5月からのアメリカ訪問に対するV4諸国の警戒心を解き、
また、サルヴィーニ副首相を含め、V4諸国と並ぶ欧州議会選挙の重要ファクターであるイタリアの意向を確認する

という、アメリカ側からのオファーに応じたものだったのではないか、と考えられるのです。

………………………………………

アメリカが情報・国防関連でV4諸国に露骨に接近する事に伴い、自らの行為で欧州議会のパワーバランスが崩れることを憂慮したのか、
或いはEUの自主性を削ぐべくV4諸国やイタリアなどEU懐疑派を積極的に懐柔するため、安倍首相に根回しを依頼したのか、その部分には言及しません。


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日本側としても、今回の訪欧はアメリカの要望に応じる形で恩を売り、G20への布石とする効果があるだけでなく、

『中国とアメリカ双方の間を行き交いながら、EUの秩序に対する挑戦を行う』イタリアやV4諸国に対して、
一帯一路フォーラム開催前後というタイミングに日米側の意志、それも「情報通信関連を除いた」中国との親交を不問とし、引き続きアメリカとの二国間会談はオープンであるという、政治力を含んだ会談をヨーロッパ方面に行いえる、貴重な機会となりました。


同時に欧州議会選挙で懐疑派の躍進を覆し得ないEU中枢に対しては、共同声明を通じてわずかながら選挙への追い風を提供しただけでなく
懐疑派諸国への事前訪問を行い、かつ彼らに国際協調についての前向きな表明を行わせた事により、
安倍首相こそEU中枢と懸念事項を共有出来ることを確信させたという形で、G20への根回しを成功させた訳です。

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なお、一連の文章の目次を作成いたしました。
https://tenttytt.hatenablog.com/entry/2019/05/23/194237
こちらのURLへお願いいたします。

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8. 蛇足: 5/13以降

さて蛇足ではありますが、今回の安倍首相の欧州外遊について、
5/13以降のイランを中心とする国際情勢の変化により、特にアメリカに対する貢献は無駄になってしまった疑いがあります。

5/13にポンペオ国務相が急遽モスクワ訪問予定をブリュッセル行きに変更、イラン対応についてEU中枢国外相などと会談を行って以降、
アメリカは欧州に対する活動への興味を失い、また日米タッグ外交は安倍首相外遊によるアメリカへの功績も含めて解消されてしまったようなのです。


……………………………………

5/14

  • 米国務相-ロシア大統領・外相会談
  • イラン外相-インド外相会談

5/15

  • 米高官、輸入車関税増の中止について発言

5/16

  • 米国務相-香港民主化リーダー会談
  • 安倍首相-イラン外相電撃表敬
  • 河野外相-イラン外相電撃会談

5/17

  • 米商務省、ファーウェイを禁輸措置対象に
  • 安倍首相-中共政治局委員による表敬(当初は国家安全保安局長が対応予定)

5/18

  • アメリカ、対カナダ・メキシコ金属追加関税撤廃
  • イラン外相-中国外相会談

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G20大阪サミットの重点議題、データガバナンスと自由化の枠組み“大阪トラック”声明の成否は、ファーウェイへの禁輸措置の末、主導権をアメリカに握られてしまいました。
https://www.google.com/amp/s/jp.mobile.reuters.com/article/amp/idJPKCN1SL2VS
『中国ファーウェイ狙い撃ち、米政権が排除措置を相次ぎ発表』

Reuter紙 2019/05/15

※さらに5/19の報道ですが、5/27の日米首脳会談では現在『共同声明は行わない』予定とのこと。
https://www.google.com/amp/s/www.asahi.com/amp/articles/ASM5N36PVM5NUTFK008.html
『日米首脳会談、共同声明を見送り 貿易交渉の合意は困難』

朝日新聞 2019/05/20

貿易交渉や対北朝鮮政策の乖離が原因、との事ですが……時期的にはむしろ大阪トラックなどG20に向けた各共同声明を保留し、主導権を維持しようという意図があるのでしょう。


また中露に目を向けがちな各国に対してすら、アメリカがオープンであることを示す場であったV4首脳の訪米も、
https://www.theguardian.com/commentisfree/2019/may/16/trump-orban-democracy-us-hungary
『トランプとオルバンの連携は、非合法民主主義がアメリカに根城を置くことの現れ』

The Guardian紙 2019/05/16

特にハンガリー首相オルバンとの非民主的連携が報道にクローズアップされるばかりとなり、諸会談の露払いとなった日本の貢献も無視されています。


何よりこの外遊で得たであろう日本外交のプラス評価は、イラン外相の電撃来日の結果、原則論でしか対応出来ない無力さを指摘されかねない状況になりました。
https://www.mofa.go.jp/mofaj/press/release/press4_007411.html 外務省HP
(というよりなぜロシア・インドと来て、中国より先に日本に来たのか……?)


結局のところ首相欧州訪問は、イレギュラーな事態の末
短期的にはG20の、長期的には欧州議会選挙以降のヨーロッパ情勢への根回しまでは行い得たが、効果は欧州方面に留まり、アメリカに対しての根回し効果はあまり無かった模様。

寧ろG20ですら、自国のイニシアティブを維持しようと暴れる米中を宥めるため、従来国際協調を持ち出す立場だったEUの代わりに、矢面に立って主要議案を通す状況に持ち込まれてないか、と心配です。


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……当初は5/13のオルバン・トランプ会談をもって
今回の文章を締めようと思っていたのが、
国際情勢急転によりなかなか締められなくなりました。

本当であれば、欧州議会選挙やそこから始まり得る未来像や、日本の布石が今後どのように国際情勢に影響を与えるか、その辺も触れられればと思ったのですが、先週来の国際情勢には振り回されてばかりです。


まともに締められず、申し訳ありません。 (了)


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すみません。国際情勢はともかく、先週来自分が体調を崩してしまい、情報収集や文章をまとめるのもままならない状況で、尻切れトンボになってしまいました。

次の文章は、一月ほどお休みを頂きます。
体調のせいではありません。掘り終わったら戻ります。

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首相欧州訪問と欧州議会選挙(4)

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『首相欧州訪問と欧州議会選挙(3)』

https://tenttytt.hatenablog.com/entry/2019/05/05/212511
の続きとなります。


なお、一連の文章の目次については
https://tenttytt.hatenablog.com/entry/2019/05/23/194237
こちらのURLへお願いいたします。


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4. サルヴィーニ副首相と欧州議会選挙

このイタリア副首相サルヴィーニですが、同じく副首相のディマイオ氏と並び、現政権ではコンテ首相以上の発言力を持っています。

コンテ政権は右翼ポピュリズム政党“Lega”と左派ポピュリズム政党“Movimento 5 stelle”とが、反EUという立場から連立した政権であり、
コンテ首相自身は実際このLegaのトップであるサルヴィーニと、Movimento 5 stelleのトップであるディマイオが共に指名した傀儡的人物に過ぎません。


そして今回の15分の会談(?)は、実は日本の閣僚として、イタリアの最高権力者サルヴィーニの“謁見”を初めて許された場だった訳です……


が、サルヴィーニ側の思惑はともかく、なぜ日本側というより安倍首相は、サルヴィーニとの会談に応じたのでしょうか。


表向き2国間の親密なパートナーシップを結ぶよりも、G20関連などの国際協調を謀る色彩が強かった今回の外遊については、実際のところコンテ首相との会談のみで十分だった筈です。

では何故わざわざ、今回サルヴィーニとの会談に応じたのか?
今月末(5/23~26)行われる、欧州議会選挙がその鍵になるのではないか、と思われます。

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この欧州議会選挙ですが、
http://eumag.jp/questions/f0419/
『2019年欧州議会選挙について教えて下さい』
ウェブマガジンEUMag 2019/04/09
こちらが解りやすいでしょう。


〉Q3. 今回の選挙の注目点はどこにありますか?

〉しかし、最も注目すべきは選挙結果です。1979年以来、中道右派キリスト教民主党系の「欧州人民党(EPP)」と、中道左派社会民主党系の「社会民主進歩同盟(S&D)」が2大政治会派を形成し、慣例として議長などの職務を2年半ずつ交替で務めてきました。(中略)

〉今回の選挙では、2つの政治会派を合わせても過半数に届かないのではないかと予想されています。(中略)

〉その原因は、多くの加盟国で総選挙や大統領選挙などで大衆迎合主義的なポピュリスト政党が躍進し、連立内閣に入閣したり、イタリアのようにポピュリスト2政党(「同盟」と「五つ星運動」)による連立内閣も誕生したりしているからです。すでに前回の2014年欧州議会選挙でも、フランス、英国、デンマークでポピュリスト政党が第一党となり、全体としても反緊縮政策、反外国人、反移民・難民、反イスラムなどを訴える欧州懐疑的な議員が約25%を占めました。

〉今回の選挙では、右翼にはフランスの「国民連合」(旧「国民戦線」)、イタリアの「同盟」、ドイツの「ドイツのための選択肢(AfD)」、オランダの「自由党(PVV)」、オーストリアの「自由党(EPÖ)」、左翼にはギリシャの「急進左派連合(SYRIZA)」、スペインの「ポデモス(私たちはできる)」、イタリアの「五つ星運動」など、ポピュリスト政党の大躍進が予想されています。

〉このため、欧州委員会委員長候補者の選出をはじめとするEUの主要ポストの人事やEUの諸政策について、政治会派の連立交渉がこれまでと比べてはるかに難しく、複雑になることが予想されています。


こう記されているように、サルヴィーニのLega(和訳だと「同盟」)など右翼、ディマイオのMovimento 5 stelle(「五つ星運動」)など左翼などのポヒュリスト政党……というより、EU懐疑派が今回の選挙では躍進すると考えられており、Euractivその他多くの分析では議員数の1/3を越えると見られています。
https://www.euractiv.com/section/eu-elections-2019/news/european-elections-a-divided-european-parliament-risking-paralysis/


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5. ハンガリー首相オルバン: EU懐疑派連合とV4(Visegrád)諸国


https://www.google.com/amp/s/www.businessinsider.jp/amp/post-185431
『フランスとイタリアが大戦以来の仲違い。EUの危機の背景を読み解く』
BusinessInsider 2019/02/19

〉ディマイオ副首相(兼経済発展相)らがマクロン仏政権に対する抗議デモ「黄色いベスト運動」の幹部と会合を持ち、支持を表明

〉サルヴィーニ副首相も1月、仏国民が「ひどい大統領から逃れられる」よう期待するなどと踏み込んだ批判を展開

https://www.reuters.com/article/us-europe-migrants-italy-germany/salvini-tells-germany-to-handle-migrant-boat-heading-for-italy-idUSKCN1RG2F8
『イタリアに向かう移民船を処理するよう、サルヴィーニがドイツに伝える』
ロイター 2019/04/05

〉サルヴィーニは、ドイツのチャリティーボートが地中海で救助し、イタリア沿岸に向かう64人の移民の責任を取るようベルリンに語った

〉「私はドイツの内務大臣に、(救助した)自称ドイツ船に介入し、この問題を解決するように依頼しました」とサルヴィーニはG7内務大臣サミットでパリの記者団に語った

二人のイタリア副首相が、EUの中心国フランス・ドイツとの対立姿勢を明らかにしていく中、
主にサルヴィーニ側の主導で行っていたのが、EU諸国の右翼ポヒュリスト政党に対する共闘の呼びかけでした。

サルヴィーニは右翼政党Legaの代表として、欧州議会での発言力を増すため、EU諸国の右翼政党との共闘を持ちかけているのです。

https://www.google.com/amp/s/www.sankei.com/world/amp/190110/wor1901100032-a.html
EU懐疑派、欧州議会選へ結集模索 伊内相、ポーランド実力者と協議』
産経新聞 2019/01/10

〉サルビーニ副首相兼内相が9日、ポーランドを訪問し、同国の保守系与党「法と正義」のカチンスキ党首と会談した。5月に行われるEUの欧州議会選挙に向けた連携について協議。EUに懐疑的なポピュリズム大衆迎合主義)勢力による会派や欧州の東西を超えた結集を目指す動きが本格化

〉サルビーニ氏は中道右派に属するハンガリーのオルバン首相にも接近。ドイツの新興右派、ドイツのための選択肢もサルビーニ氏との連携を排除していない

https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20190426-00000089-jij-eurp&pos=2
『極右政党、欧州議会選へ気勢=プラハで集会、統一会派結成も』
時事通信 2019/04/26

〉移民排斥や反欧州連合EU)を掲げる欧州各国の極右政党党首が25日、プラハで合同集会を開き、5月の欧州議会選に向けて「新たな欧州の調和を実現する時だ(フランスの国民連合=RN=のルペン党首)」などと気勢を上げた。

〉集会は、日系チェコ人のトミオ・オカムラ氏が率いる同国の政党「自由と直接民主主義」が主催。このほかオランダのウィルダース自由党党首が参加し、「EUはわれわれのアイデンティティーを破壊する怪物だ」と訴えた。イタリアの「同盟」を率いるサルビーニ副首相もビデオメッセージを寄せた。


……そしてこのEU懐疑派がEUの主導権を握るための核となる、いわゆるポヒュリスト政党が国政を握っている国家こそ、今回安倍首相が会談を行ったイタリア及びハンガリーポーランドチェコ・スロバキアで構成されるV4(Visegrád)諸国だった訳です。

………………………………………

※ところで、これらV4やイタリアの与党をまとめて「ポピュリスト」と呼ぶ場合、特に財政政策面で混乱してしまうかも知れません。

イタリアのように、放漫財政政策を通じて国民の人気を得ようとする場合もあれば、
ハンガリーのように財政健全策(所得・消費増税等)を行うはけ口として、移民排斥や自国産業保護などのポピュリスト政策を利用する場合もあるのです。

https://www.scgr.co.jp/report/survey/2017083127864/
ハンガリー経済の現状と課題』
住友商事グローバルリサーチ 2017/08/31

幾つかの報道の流れから、彼らを一括りにする際に「ポヒュリスト」の語を使うかもしれませんが、
今回の文章では単に「極右政党以外も含むEU懐疑派」を言い換えただけ、と思う方が良いかもしれません。


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https://www.theguardian.com/world/ng-interactive/2018/nov/20/how-populism-emerged-as-electoral-force-in-europe
ポピュリズムは欧州で如何に選挙力として出現したか』
Guardian紙 2018/11/20

〉最大の進歩は中央および東ヨーロッパで行われました。ハンガリー・オルバン大統領のFidesz(今年の選挙で投票の63%を獲得した)とポーランドヤロスワフ・カチンスキ元首相率いるPiS(注:モラヴィエツキ首相の所属政党)を含む、いわゆるV4すべてが、ポピュリズム政党によって守られている。

この記事にあるように、ハンガリーFidesz、ポーランドPiS、チェコのAno2011及びスロバキアSmer-SDと、V4諸国全てがポヒュリスト政党を与党とし、彼らの政党から首相が選出されています。

そしてV4諸国(ハンガリーポーランドチェコ・スロバキア)の中でも、移民問題のみならず自国の独自政策の末にEUから最も重い処分を提案されたハンガリーポーランドは、特にイタリアと同調し欧州議会選挙でのEU懐疑派による共闘へと向かっているのです。

https://www.google.com/amp/s/www.sankei.com/world/amp/180925/wor1809250027-a.html
『EU、ポーランド提訴、ハンガリーにも制裁手続き』
産経新聞 2018/09/25

欧州連合(EU)の欧州委員会は24日、ポーランドが施行した最高裁判所に関する新法について、司法の独立を侵害するとしてEU司法裁判所に提訴することを決めた。EUは今月、EUの基本理念に違反したとしてハンガリーへの制裁手続きにも動き出した。東欧2カ国の現政権による強権政治が大きな懸念となる中、相次ぐ措置で是正への圧力を高める狙いだ


※なお、ポーランドハンガリーに対して提案された、議決権停止というEU最高レベルの制裁となる“EU基本条約第7条”とその手続については、
https://www.bbc.com/news/world-45485994 
EUハンガリーにどのような制裁を与えうるか』
BBC 2018/09/12
こちらが解りやすいかと思います。


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……ここまでで、今回安倍首相が訪問したフランス(こちらはEU懐疑派と対立する側ですが)及びEU懐疑派のイタリア及びV4諸国の背景と、
今回の時期が丁度欧州議会選挙の選挙活動期直前に当たり、EU懐疑派国家の動向を探るのに適していたことを記しました。

では安倍首相が、その後の米国・カナダを含めて『他国よりも上記国家を優先して訪問した理由』は何でしょうか。

4/25~/26には一帯一路フォーラム、
4/30には即位改元に伴う諸行事があり、
更に5~6月には閣僚会合を含めたG20サミット、
8月にはTICAD7(アフリカ開発会議)が開かれます。

これら重大な事項をさしおいて、
つい数ヶ月に会談を行ったばかりのフランス・イタリア・V4諸国に、それも一帯一路フォーラム参加閣僚のスケジュールの間隙を突くタイトな訪問を行わなければならないほど、欧州議会選挙のパワーバランスに配慮した理由は何なのでしょうか。

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次回、
『首相欧州訪問と欧州議会選挙(5)』
https://tenttytt.hatenablog.com/entry/2019/05/20/194214
に続きます。

首相欧州訪問と欧州議会選挙(3)

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『首相欧州訪問と欧州議会選挙(2)』

https://tenttytt.hatenablog.com/entry/2019/05/05/212131
からの続きとなります。

なお、一連の文章の目次については
https://tenttytt.hatenablog.com/entry/2019/05/23/194237
こちらのURLへお願いいたします。


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3. イタリア副首相サルヴィーニ


『なぜこれらの国を廻ったのか』という疑問です。

折しも、中国における「第2回一帯一路国際協力サミットフォーラム」が開催(4/25~27)された時期であり、勿論それを念頭に置いての外遊だったと思います。
ただし「念頭に置く」だけで、一帯一路への不参加を要請したり、フォーラム参加国に色々吹き込むような外遊では在るまい、と(それを行うには時期が遅すぎます)。

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…ということで、各国での会談内容から考えて見ることにします。

  • A: 「自由で開かれたインド太平洋」への協力が盛り込まれたのは、仏伊2国及び欧州委員会(此方では東・南シナ海への危機意識共有でしたが)。
  • D: イギリスの合意無き離脱、環境問題及び前述した「WTO改革」と「大阪トラック」については、全ての国で議題に(V4諸国については、データガバナンスの重要性のみに止まっていますが)。
  • F: 逆に首相より名義上格下の相手と個別対談したのは、イタリア副首相サルヴィーニのみ。


………………………………………

A: に関しては、あくまでインド太平洋上の話であり、海洋保全・交易面で同海域との縁が薄いV4諸国にはあまり関係のない話……と思ったのですが……

実は昨年10月にV4+1会談を行った際
https://www.mofa.go.jp/mofaj/page4_004423.html
外務省HP『第2回V4+日本首脳会合』2018/10/18

安倍総理は,アジアと欧州の安全保障の相互連関を指摘し,自由で開かれたインド太平洋の実現に向けてV4諸国を始めとする欧州諸国との協力を呼びかけました。

とのこと(反応は得られなかった模様)。


……となると、今回は意図的にV4諸国に対して「自由で開かれたインド太平洋」の提言を避けたと思われます。
更に言えば、たった半年で第3回会談を行った(第1回→第2回には約5年掛けています。)ことも、今回更に駆け足で二国間会談まで行ったことも含めて、このV4+1会談は奇妙ではあります。


B: についても、歴史的にアフリカとの縁が強い仏伊2国以外はあまり関係のない話ではあります。

逆に言えば、今夏のTICAD7においてアフリカ大陸のほぼ全ての国家と交渉を行う立場の日本としては、この2国からのアフリカ情報を入手する目的はあったかも知れません。
特に昨年末より、アルジェリアスーダン
https://tenttytt.hatenablog.com/entry/2019/04/16/002259
及びリビアでの政情不安が続いている訳ですから。

……さて、実は少し気になる記事が見つかりました。
リビアへの対応その他について、最近になって仏伊両国の関係が悪化しているとのことです。

https://www.brookings.edu/blog/africa-in-focus/2019/02/05/france-africa-relations-challenged-by-china-and-the-european-union/
『中国とEUが挑戦するアフリカ-フランスの関係』
Brookings紙 2019/02/05
〉イタリア副首相マッテオ・サルビーニは、リビアの安定化に向けたフランスの「無関心」を揶揄。「恐らくイタリアと異なる石油利権のためだ。」

ただし、この両国の関係悪化はリビアに留まらない背景があり、此方は後述F: の件で触れようと思います。


C: D: については、G20加盟など各国の状況による面が大きいでしょう。

E: についても、ハンガリー側の一帯一路との取捨選択の結果であり、日本としてもV4の元首代理として対応したに過ぎません。
また、ハンガリー首相オルバンについては、前述の通り昨年10月のV4+1会談で顔合わせは済ませています。


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……F: サルヴィーニ副首相についてですが、今回の会談(?)について、興味深い現地記事が2つ見つかりました


https://www.ilfoglio.it/esteri/2019/04/24/news/il-governo-conte-un-camaleonte-in-asia-251376/
『コンテ政権、アジアのカメレオン』
Il foglio紙 2019/04/24

〉Legaのリーダー(注:サルヴィーニ副首相)の閣僚によって直接「要求された」会議は、日本代表団が黄緑政権(注:コンテ政権)の他の部分から少しの連絡も受けなかったであろう


https://www.ilsole24ore.com/art/mondo/2019-04-25/salvini-lezione-abe-economia-e-immigrazione-182145_PRV.shtml?uuid=ABxBFirB
『サルヴィーニ、安倍首相の経済学と移民問題の講演会にて』
Ilsole24Ore紙 2019/04/25

〉Lega(注:サルヴィーニの所属政党)情報筋は、経済的、社会的、そして入国管理の問題について「完全な共有」があることを示しています。
〉結局、日本は高い公的債務にもかかわらず生き残り成長することを強調した事に対し、しばらくの間サルヴィーニは冗談を繰り返してきました:
“Japan model, Japan model. ”


…外務省HPで『サルヴィーニ副首相兼内務相による安倍総理大臣表敬』と発表されたような、
https://www.mofa.go.jp/mofaj/erp/we/it/page1_000781.html

安倍総理大臣から、日本は、自由、民主主義といった普遍的価値を共有するイタリアとの関係を重視しており、日伊で連携していきたい旨述べました。これに対し、サルヴィーニ副首相からも賛意が示され、アベノミクスや移民政策等につき非公式な意見交換が行われました。

からかなり乖離した15分会談(?)だったようです。
更に上記Il foglio紙では4/23の夕食会(外務省HPの日本食レセプション)で出席する予定を急遽キャンセルしたとの話も掲載されています。


※なおこの“Japan model”発言について、サルヴィーニ副首相がいわゆるアベノミクスをバカにして放った言葉、と解釈するのは難しいと思います。

〉日本の公的債務は非常に高いのですが、金銭的主権があります。
https://mobile.twitter.com/matteosalvinimi/status/832345611034906625

彼が2017年2月のツイッターでこう述べ、国債発行と自国通貨発行(及びそこからも帰結するEU離脱)による国家再建を唱えて以来、彼の経済政策は
“Salvinienomics”“Salvinomics”と称せられているのですから。
彼が軽視したのは、明らかに経済政策以外の安倍首相だったのでしょう。

https://www.lettera43.it/it/articoli/mondo/2019/04/07/giappone-debito-pubblico-sovranita-monetaria/230941/
『日本はサルヴィーニが信じるようなソブリン(国債・通貨発行主権両方の寓意かと)の楽園ではない』

Lettera43紙 2019/04/07


なお……サルヴィーニ(正確には彼と、同じく副首相のディマイオ)による経済政策案は

増税や緊縮財政ではなく成長促進での債務削減
公共投資財政赤字に含まぬようEU規則の変更
EUにおける対GDP比債務比率ルールの廃止
・売上高税、消費税増税予定の中止
・脱税者への制裁強化
・納税延滞者への恩赦
・退職(年金支給)年齢引上げ
・貧困者に月780ユーロの収入確保
 などなど。
https://www.reuters.com/article/us-italy-politics-economy-policy-factbox-idUSKCN1II1WH
『イタリアのMovimento5stelleとLegaによる経済政策草案』 
ロイター紙 2018/05/17より一部抜粋


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次回、
『首相欧州訪問と欧州議会選挙(4)』
https://tenttytt.hatenablog.com/entry/2019/05/05/213104
に続きます。

首相欧州訪問と欧州議会選挙(2)

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前回の
『首相欧州訪問(2019/04)と欧州議会選挙(1)』https://tenttytt.hatenablog.com/entry/2019/05/05/211851
からの続きとなります。


なお、一連の文章の目次については
https://tenttytt.hatenablog.com/entry/2019/05/23/194237
こちらのURLへお願いいたします。


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2. 会談での中心議題、WTO改革と大阪トラック……前書きその2

今回、各会談で議題となった「WTO改革」「大阪トラック」は、経団連『B20サミット共同宣言』http://www.keidanren.or.jp/policy/2019/020_honbun.pdf
に概要が記されており、海外首脳の反応から考えても、首相の提案はこちらに沿うものではないかと思われます。

なお、WTO改革については
『日米欧によるWTO改革案、ターゲットは中国 』

岡崎研究所評論集 WEDGE Infinity 2018/12/11
https://www.google.com/url?sa=t&source=web&rct=j&url=http://wedge.ismedia.jp/articles/-/14696&ved=2ahUKEwje4ZC6jfPhAhV3yosBHTRZC20QFjAAegQIAhAB&usg=AOvVaw0WA-R2ZTYHc0UcnJbegjhu

辺りに、既に海外諸国と連名での改革案が掲載されており、こちらが詳しいかと思われますが、実際に今回各国首脳とどのような形でコンセンサスを採ったのかは不明です。個人の感想としては、

https://www.mofa.go.jp/mofaj/files/000473397.pdf
日本産食品の安全性に関するパネルの事実認定については争いがなく,本日この紛争解決機関によって採択されることを,全てのWTO加盟国が認識するよう求める

ような日本食品に関することではなく、ただWTO裁定のシステミックな問題のみに同意を求めたに留まると思います。
欧州委員会からは日本食の安全性について言及があったようですが、この辺は上記Politico紙でも突っ込まれていますので、EPA含めた先方からのリップサービス込みだと解釈出来るのではないでしょうか。


…………………………………

またデータ・ガバナンス、特に電子商取引に焦点を当てたG20で提案予定の「大阪トラック」については、
ダボス会議で提唱したとおりWTOの傘の元での“DFFT(Data Free Flow with Trust)”を構築する内容とされており、官邸HP 2019/01/23に
世界経済フォーラム年次総会 安倍首相スピーチ』https://www.kantei.go.jp/jp/98_abe/statement/2019/0123wef.html
で環境問題と並ぶ2大議題として触れられています。


このDFFTについて、

https://www.google.com/url?sa=t&source=web&rct=j&url=http://fis.nri.co.jp/ja-JP/knowledge/commentary/2019/20190107.html&ved=2ahUKEwj6neDvyvThAhWF62EKHex8CbAQFjAAegQIBxAC&usg=AOvVaw2p6TTsk_nd-vsee-Ib9TJa
WTOでデータ取引の国際ルール作り』
Financial Solutions 2019/01/07
(こちらではDFFTの名称は出てませんが)

https://merpoli.mercari.com/entry/2019/03/20/070000
『Data Free Flow with Trustの意味を考える』

merpoli 2019/03/20

辺りで、その狙いや予想される姿に触れています。


日本の『大阪トラック』の実際の枠組みについては
内閣官房情報通信技術(IT)総合戦略室の資料に
https://www.google.com/url?sa=t&source=web&rct=j&url=https://www.kantei.go.jp/jp/singi/it2/detakatuyo_wg/dai6/siryou2.pdf&ved=2ahUKEwi1s_qBkvPhAhUSrpQKHWjyBI4QFjACegQIBxAK&usg=AOvVaw0lkmLqBYGj3HrmScv8hryg
https://www.google.com/url?sa=t&source=web&rct=j&url=https://www.kantei.go.jp/jp/singi/titeki2/tyousakai/kensho_hyoka_kikaku/2019/contents/dai5/siryou2-1.pdf&ved=2ahUKEwi1s_qBkvPhAhUSrpQKHWjyBI4QFjABegQIBxAG&usg=AOvVaw1IzyTPsO2nx0SL94Pnvzlr

解る人が見れば、ある程度の像が結ばれるのではないでしょうか(私には何がなにやら)。
なお、経済産業省のHPにこの“Data Free Flow with Trust”関連業務の担当職員募集要項が記載されており、職務のアウトラインのヒントになるかと思います。

https://www.google.com/url?sa=t&source=web&rct=j&url=https://www.meti.go.jp/information/recruit/others/ninkitsuki/1906_tuusyousennryakusitu_ninkitsuki.pdf&ved=2ahUKEwiLmNiEkPPhAhX3wosBHUhUCR0QFjAAegQIBRAC&usg=AOvVaw2eYEM7YlildwjIvLYhF5KF


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まあそれはそれとして。前置きが長くなりました。

恐らく上記の内容については、各方面に詳しい方がもっと切り込んだ記事を作られるのではないでしょうか。
私としては、その記事が出て来るまでの繋ぎというか備忘録として、上記文章を作成したつもりです。


個人的に今回の外遊で気になったのは、

『この時期になぜこれらの国を廻ったのか』

でして、次回やっとそちらの話が書けるかと思います。


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次回、『首相欧州訪問と欧州議会選挙(3)』
https://tenttytt.hatenablog.com/entry/2019/05/05/212511
に続きます。