茂木外交に垣間見える性格と、対インド会談

はじめに.


前回の『NDPIと教皇訪日とGSOMIA……3つの核の物語』で少しだけ触れた、茂木外交の性格についての文章です。


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……外相就任以降、経済再生担当相・内閣府特命担当相時代から(内閣官房HP)業務を継続した日米貿易協定については勿論、その後の外相会談や諸会合また記者会見(外務省HP)に至るまでそつなく業務をこなしていたと思われます。

即位の礼に至る第四次改造内閣から引き継がれた業務をこなし続けている間、外交自体に独自色を出すことは控えていたようです。

茂木外相の国際的な技量を測るデビューと思われたG20愛知外務大臣会合の場も事後概要(G20愛知・名古屋外務大臣会合HP)にある通り、やはりそれまでのG20大阪及び前後して行われた閣僚会合を踏襲したものでした……が、今回の外相会合で共同声明あるいは議長声明の代わりに行われた議長国記者会見(G20愛知・名古屋外務大臣会合HP)の内容は、G20外相会合の総括という本来の意図を外れ、同会合における茂木外相のスタンスを言語化する格好の場となりました。


今回は外相会合が終了した11/23の『議長国記者会見』、会合に伴う二国間会談が終了した11/26の『茂木外務大臣会見記録(外務省HP)』などから垣間見えた茂木外交の性格に触れてみたいと考えています。


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1: 茂木外相の特徴について

1-1: 自由貿易への注力とその他への無関心


まず今会合について、外相は主要テーマ(G20愛知HP)として

自由貿易の推進とグローバル・ガバナンス
・SDGs(の実現)
・アフリカの開発

の3つを掲げていましたが、記者会見では他二軒と比較して「自由貿易と~」のウェイト・会議内容の具体性などかなり注力していた事が、第一の特徴として挙げられるでしょう。

自由貿易への関心自体は各国、サミット参加者の多くが共有していた認識ではないか?」という問いについては、確かにそうだと思われます。

しかし逆にそれ以外のSDGsやアフリカ開発についても各国十分に関心を持ち、それぞれの取り組みを述べていた事は『議長国記者会見』でも触れています。恐らく実際の会合では、この二議題について多岐にわたる具体的な提案を、日本も他国も用意していたでしょう。であるからこそ、各国の意見の方向性に対する総括と、成果としての日本のリーダーシップを示すことは

〉各国間の申し合わせにより,会議の中で,誰が何を述べたかをご紹介する事はできない

と述べている限り、議長である外相自身の義務なのですが、それすら気づかないほど外相自身は残り二つのテーマに対して関心を持っていないのです。


……言い換えれば、それだけ第一のテーマ“自由貿易の推進とグローバルガバナンス”に注力していたと言えるのでしょう。では、この第一のテーマにどのような関心の示し方をしていたのでしょうか。


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1-2: DFFT関連発言に見るグローバリズム傾注


〉いわば「角(つの)を矯(た)めて牛を殺す」ことがないような制度を作ることが重要な課題であると感じたところであります。
〉「Data Free Flow with Trust」,つまり,「free flow」が基本にあって,その上で「trust」ということだと考えており,その順番を間違えてはいけないと思っております。

(共同通信 鈴木記者への返答)


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デジタル経済議論の総括について、外相は上記の感想を述べられました。

ここでいう“Data Free Flow with Trust (以下“DFFT”)”とは、現在では6/8のG20貿易・デジタル経済大臣閣僚声明(総務省HPより)により

  • プライバシーやデータ保護、知的財産権やセキュリティを通じて消費者及びビジネスの信頼を構築し、データの自由な流通を促進することでデジタル経済の機会を活かすこと


と定義されています。
今回の記者会見でも触れた「大阪トラック」(外務省HP)は、このDFFT体制整備に向けたプロセスとされているのですが、外相はこのDFFTへの率直な感想として、データ保護等を重視し自由流通によるデジタル経済の活性化を阻害することを懸念した訳です。


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ところで、“with Trust”抜きの“Data Free Flow”については、安倍首相がDFFTと大阪トラックの定義を2019/1/23のダボス会議で提唱(官邸HPより)したよりも前から、WTOなどの場で経産省主導で提案(WTOホームページ)し、欧米諸国を中心に支持を得ています。


“…the WTO should consider reaching agreement among Members on principles to ensure free flow of data. Any such agreement should allow the least trade restrictive measures that would fulfil legitimate public policy objectives, including personal data protection.”

WTOは主要メンバー間において、データフリーフローを保証するための合意に達するべきです。
〉そのような協定は個人データ保護を含む、合法的な公共政策のためなど、貿易への制限を最少とするもののみを認めるべきです。
(3.7節 筆者訳)


しかし茂木外相のように、Free Flowの恩恵を受ける企業への法的規制は最小化すべき、という考え方まで進める事には、上記WTO提案に賛意を示したEUすらデータ保護の観点から懸念(令和元年度版情報通信白書より)を示しており、寧ろwith Trustを各国が満たす事に関心が移っています。
欧州委、個人データ保護に関わる日本の十分性認定の意義に言及
(JETROビジネス短信 2019/01/31)

茂木外相と同様のベクトルを提示するアメリカすら、Free Flow保証の最大化を求めるのはあくまでGoogleAmazonを自らが擁しているという前提あってのことです。トランプ政権が彼らに課税回避やネガティブな情報配信姿勢に対する非難を行うのは、彼らがアメリカの所有物だと認識している事の裏返しに過ぎません。

更にインドはデータ・ローカライゼーション、つまりデータの価値と保護を国家主権の下にあるべきものと主張しました。データの価値を国家が放棄し、根本で特定国家の庇護の下にある国際企業に還元させるものではなく、自国の成長と国民の安全性に責任を持つ国家自身が活用すべきものだと主張し、G20サミットで南アフリカインドネシア等と共に大阪トラックへの署名を拒否、現在に至っています。


安倍首相の場合、確かにData Free Flowの優位性を

  • 現在国家間で存在するデータ流通のコンフリクトを解消させ、その流通円滑化により節約出来た負担をこれからの成長資本に投入する


という自由貿易の利潤に関する基本概念から主張してはいるのですが、各国に隔たりのある保護的側面を重視し、“with Trust”の理念と大阪トラックという協議の場を提唱しています。


茂木外相のように、原則的な自由貿易の立場のみでData Free Flow受益者への支持を主張するのは、政治家としては極めて特殊だと言えます。各国の隔たりを埋めていくというwith Trustの原点を飛び越え、グローバリズムの視点を重視しているのです。


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1-3: 東京グローバル・ダイアローグ演説


このグローバリズムへの傾注の姿勢は、2019/12/02に行われた第1回東京グローバル・ダイアログにおける茂木外務大臣外交政策演説(外務省HP)において更に鮮明となります。


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〉既存大国と新興勢力がせめぎ合う現在だからこそ、「力」によって自らの主張を押し通すのではなく、まず第1に国際社会のルールにのっとって解決策を見いだすこと、そして2つ目として経済・社会・技術革新など様々な変化に対応した新たなルール作りを通じて、より持続可能な国際秩序へと脱皮させていくこと(中略)

〉こうしたルールを守っていく中で、各国のポテンシャルを引き上げ、実際の経済的繁栄をもたらすにはどうすればよいのか。それが、もう一つの取組、経済協力をめぐる日本外交につながってきます。その基本、「自由と公正さ」を支えるものは、一言でいえば「選択肢があること」だと思います。(中略)

〉特定のサプライチェーンにのみ従属するのではなく、重層的なネットワークの中で経済活動を発展させられるよう、経済回廊の形成や物流インフラの支援を行っています。(中略)

〉インド太平洋は、世界人口の半分を有する世界の活力の中心であると同時に、多くの新興勢力が台頭し、各国の力関係が複雑にせめぎ合う地域です。本日のスピーチで、日本がそのインド太平洋において、まさに「自由・公正で透明性のあるルールに基づいた国際秩序」を構築するために、長期的視野から、一貫性のある外交を進めていることを御理解いただけたのではないかと思います。


……安倍政権の外交姿勢を力強く受け継ぎ、また他国に数多くの選択肢を提示できる、二国間経済交渉の第一人者としての自負を感じさせるスピーチです。

もし疑問を呈するとすれば、インド太平洋の新興国家の腹中を捉え切る事が出来るかどうかでしょう。

相手国に利害や国策を取捨選択させる交渉能力ではありません。グローバリズムに根ざす経済的選択性や国際秩序を拒否する理由を、単なる民族主義国家主義覇権国家からの利権程度でしか理解しておらず、またその中で育まれる新しい秩序への恐れも感じていないのではないか、という事です。


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更にこの東京グローバル・ダイアローグ演説は、

『多国間主義あるいは自由貿易は、あくまで欧米のグローバリズム下に存在するものであり、他大陸のリージョナルな主張の統合や影響力拡大は望ましいものではない』

という、茂木外交の更なる性格まで浮き彫りにしています。


〉そして、ここで強調したいのは、日本は、ただ単に自由経済圏の拡大のみを追求しているわけではないということです。そこには、世界の成長センターであるアジア太平洋地域における新たな枠組の在り方として、経済面のみならず地政学的な見地から見てどのようなものが望ましいかという、戦略的判断があります。

〉アジア太平洋の戦略的枠組において、米国のプレゼンスをしっかりと確保することは不可欠であり、日本は、米国の同盟国として、そのプレゼンスを確保していく責務があります。今、国会で審議が最終盤を迎えている日米貿易協定は、アジア太平洋の自由経済圏に米国をつなぎ止める役割を果たすものでもあります


……アジア太平洋の自由経済圏に米国をつなぎ止める、と述べられていますが、直前の文章から考えて本当の意味は『アジア太平洋の自由経済圏を米国につなぎ止める』でしょう。


〉日本は、様々な経済連携協定を通じ、質の高いルールが適用される範囲を拡大しています。TPP11、日EUEPA、日米貿易協定によって、世界のGDPの6割をカバーする自由経済圏が形成されつつあり、まさに日本がその中心、ハブとなっています。


アジア太平洋(或いはインド太平洋)エリアにおける利益・共通認識を取りまとめて国際的議題として提唱する、リージョナルな多国間主義の代わりに、彼らの主張を日本をハブとして米国と連動して解決を謀る。

例えば先日インドの署名拒否で話題となったRCEPの場合、日本政府は国家として中国・インドが加わる形での署名にこだわる姿勢を示しています。

これは中国やインドといった、相反する利益・認識を持つ大国を加えた広域自由経済圏を形成することにより、彼ら新興大国がアジア太平洋地域の小規模連携を通じてリージョナルな主張を形成するのを阻害する効果があります。

茂木外相の場合、そこで日本がオピニオンリーダーとして地域の意見を広く統合していくのではなく、あくまで米国中心の国際的自由経済圏に回帰させる事を旨としているのではないか、と思われるのです。



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2. 外相の対印交渉と、インドに見る日本型国際政策への拒否感


さて、これら外相の性格を踏まえた上で確認して頂きたいものがあります。上記G20議長国記者会見と東京グローバル・ダイアローグ演説の間に行われた、対インド会談です。


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2-1: 前置きとして…共同声明でのカシミール言及


“They noted in this context the threat posed to regional security by terrorist networks operating out of Pakistan and called upon it to take resolute and irreversible action against them and fully comply with international commitments including to FATF.”

〉彼らはこの文脈で、パキスタンから活動するテロリストネットワークによって地域の安全にもたらされる脅威に留意し、彼らに対し断固たる不可逆的な行動をとり、FATFを含む国際的な約束を完全に遵守するよう求めた。

注) FATFとは、マネーロンダリング対策・テロ資金対策の国際的推進等を目的とした政府間機関のこと。外務省HPより


上段:https://www.mofa.go.jp/mofaj/files/000544338.pdf
“Joint statement First Japan-India 2+2 Foreign and Defence Ministerial Meeting”(外務省HPより)

下段: Google和訳による翻訳


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茂木外務大臣のインド訪問(外務省HP)における、第1回日印外務・防衛閣僚会合(「2+2」)共同声明に上記の文章が盛り込まれました。

外務省HPでの仮訳では判りにくいためGoogleでの直訳を掲載しましたが、パキスタンの外側……つまりインド・パキスタン周辺部カシミール地方での反インド活動について、インド側と協調し断固として不可逆的な行動を取る旨、共同声明を発した訳です。


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※このカシミール地方まで言及した共同声明について翌日、海部篤外務副報道官は

"I do not remember the ministers going into the detailed discussion on the specific issue."

"But at the same time, I can say we looked at the situation there very carefully. We are aware of the long-standing differences of views with regard to Kashmir. We hope a peaceful resolution will be found through dialogue."

Looked at Situation in Kashmir Carefully; Hope for Peaceful Resolution Through Dialogue: Japan
News18紙 2019/12/01

〉「大臣が特定の問題に関する詳細な議論を行ってたかどうか覚えていない」

〉「しかしながら同時に、我々は状況を非常に注目していると言うことができます。我々はカシミールに関する見解の長年の違いを認識しています。対話を通して平和的な解決が見られることが我々の望みです」

(筆者訳: 副報道官の実際の発言を掲載すべきですが、国内での報道が見当たりませんでした)

と、既に声明に盛り込まれているこの一節に対し、文面通りの意味に取らないよう弁明しております。


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この共同声明の内容は、明らかに日本側がインドに“してやられた”形ではあるのですが……実のところそれを以て『茂木外交の失敗だ』と主張したい訳ではありません。単に優先順位の低い外交問題に無頓着だったという事でしょう。あるいは外相よりも河野防衛相側の意向であったかも知れません。


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2-2: 2つの国際的枠組は俎上に上がったのか?


注目すべきは、外相が自らにとって優先事項である自由貿易に関する二つの難題、大阪トラックとRCEPについて具体的な提案をインド側に持ち出すことが出来たのかだと考えています。何故なら大阪トラック(India Perspective HP)RCEP(JETROホームページ)、前述したようにどちらも日本が主導的役割を果たした国際的な協定を、インド側が自らの国家的立場のもと断固として拒否した問題だからです。


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現行の大阪トラックにおけるData Free Flowへの不信、またRCEPにおける原産地規制やセーフガード発動基準、更にData Free FlowがRCEPに原則適用される事(“India rejects RCEP e-commerce chapter”The Hindu紙2019/10/11)への不満。

日本側提唱の国際政策へのフラストレーションを抱えるインドに対し具体的な歩み寄りの提案を行ったり逆にインドを切り捨てる事で、新たなアジア太平洋エリアのイニシアティブを作り直すのか。

或いはアジア太平洋エリアでの新興大国との対立をアメリカに転嫁させるため、あくまで原則的な自由経済圏の論理を呼び掛け、現状維持の体勢を表面上続けるのか。

今回の茂木外相の対印交渉は、その性格を見定めるための重要な指標と成り得たのです。

※RCEPインド離脱の背景については
RCEPは大きな岐路に - みずほ総合研究所(2019/11/18)が分かり易いかと。Data Free Flowに対するインド側の反対が、日本で殆ど伝わっていない事を示す意味でも良い資料と言えます。


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……結果から言うと、大阪トラックについては論題に上がったかすらも伝えられておりません。またRCEPについては11/30の臨時記者会見


〉【茂木外務大臣】ジャイシャンカル外相と先週も名古屋で会っておりまして(注: 外務省HP),かなり先週RCEPについては外相との間でお話をしております。今日,モディ首相を表敬した際にですね,RCEPの話題も出させていただきました。

〉【茂木外務大臣】先週のジャイシャンカル外相との議論の中で,様々インドが持っている懸念についてお話を伺いました,そして,日本として出来る限りの協力をしたい,こういうお話をしておりますが,御案内のとおり今,交渉継続中でありますので,交渉の内容については,コメント控えさせてください。


と、内容には言及出来ないが事前に話し合いを行った旨発言されています。ただし、この外相交渉の内容について正式なリリースとなるであろう12/15の安倍首相訪印が怪しい状況となった今、それを知ることは難しくなっております。

※首相訪問中止の理由が「アッサム州グワハティ市の治安悪化」との事ですが、12/12現在の外務省海外安全ホームページではアッサム州(グワハティ市除く)が危険レベル2、グワハティ市内はレベル1なんですよね。

参考: Northeast boils, police open fire, train services hit as anti-Citizenship Bill stir rages in Assam: Highlights
(IndiaToday紙 2019/12/12)


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ただし、外相・防衛相の訪問に続く12/10の梶山経産相のインド訪問の結果は、茂木外相がインド側に対して国際的枠組みに関する具体的な提言を行わなかった可能性を示しています。

RCEP「課題解決に取り組む」、梶山経産相が印訪問
日本経済新聞 2019/12/10

この会談について、日本側とインド側の発表は内容が大きく異なっております。


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梶山経済産業大臣がインドへ出張しました(経産省HP)

〉梶山大臣より、RCEPについて、インドの参加に向けてともに課題に取り組む旨を述べた上で、率直な議論を行いました。

〉また、「日印産業競争力パートナーシップ」を立ち上げ、インドが抱える課題に対し日本の経験の共有や具体的な協力を通じて共に取り組んでいくことを提案し、ゴヤル商工大臣から、梶山大臣と密接に連携して取り組みたいとの賛意を得ました。


Piyush Goyal商工大臣、ニューデリーで日本の経済産業大臣と会談(インド政府プレスリリースHP)

〉商工大臣は、すべてのパートナーに対して貿易のバランスを取ることは、インドにとって最優先事項であると日本の経済産業大臣に伝えました。

〉同様に、パートナー国とのインドの商品およびサービスの市場アクセスは非常に重要ですが、日印包括貿易協定が締結されたにもかかわらず、インドの商品およびサービスの市場アクセスはとらえどころのないままの状況です。

〉両大臣はこれらすべての問題に対処し、日印貿易関係を強化するために、期限付き行動計画を作成するよう両国の当局者に伝えました。


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RCEPについての議論を行い、またインドへの産業協力について提案したとする経産省

RCEPどころか、二国間の貿易協定(参考:外務省HP)についても疑義を呈し、対日貿易不均衡減少のロードマップ作成を命じたとするインド商工省。

両者の記述は全く整合性に欠いています。

※このインド商工省側の発表に慌てたのか、経産省は翌12/11にLaunch of “India-Japan Industrial Competitiveness Partnership”仮訳「日印産業競争力パートナーシップ」の立ち上げについて(共に経産省HPより)の共同声明文書を掲載、日本側の記載の正当性を訴える事態となっています。


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……両者のどちらの内容が正しいのかはともかく、この件で私が述べたいのは一つ。

今回の梶山経産相訪印で、大阪トラックは勿論RCEPについても、インド側の態度を決定すべきまともな話し合いが行われなかった可能性が高い事。

ひいては茂木外相も、RCEPや大阪トラックを主管する経産相会談への地ならしとなる具体的な提案を行わず、あくまで原則論としてのRCEP参加依頼に留まっていた、という事の証明でもあります。


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終わりに:


〉(トルコ・ミリイェット紙 ディデム・オゼル・テュメル・アンカラ支局長)
〉貿易紛争や制裁を政治的手段として利用する国もある中で,WTO改革について議論をすることは現実的でしょうか。このような困難な環境において,G20としてどのようにWTO改革に取り組んでいくのですか。


〉(茂木大臣)
〉(ここのみ英語で)非常に良い質問です。
〉多角的貿易体制が様々な課題に直面する中で,G20大阪サミットで首脳たちは,自由,公正,無差別といった自由貿易体制を支える原則で一致しました。
〉まさに多国間枠組みへの信頼の揺らぎが見られる今だからこそ,多角的貿易体制の礎であるWTOを,現代の国際貿易における諸課題に十分に対応できるように改革すべきというのが,G20の共通の認識であります。
〉今回の外相会合でも,WTO改革に勢いを与えるために活発な議論を行いました。本日の議論を,スピード感をもって具体化するため,日本は今後もG20を始めとする場で積極的な議論に貢献していきたいと考えております。

議長国記者会見(G20愛知HP)


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……この噛み合わないやりとりに、茂木外交が今後抱えるであろう問題が集約されていると思われます。

記者側が今更WTO改革を議論しても現実に対処しえるのかを質問しているのに、『今だからこそ行うべき』と答える。

現実に対処するため、G20WTOをどのように改革しようとしているかを質問しているのに、『現実の諸課題に対応できるよう、スピード感をもって具体化する』と答える。

これらの回答は、その場の思い付きで発せられた言葉ではありません。『よい質問です』と前置きし、持論を取捨選択して発言した結果なのです。


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日本のアフリカ姿勢について質問したイタリア同様、記者会見でのトルコの質問は自国の政策、つまりグローバリズムの持つ欧米中心主義への不信を背景として行われたものでしょう。

だからこそ、外相は東京グローバル・ダイアローグのような具体的な発言は差し控え、国家主義と新興大国への接近を選ぼうとするトルコに対して原則的な対立意見を提示したのだと思われます。

自らのグローバリズムへの傾注と、その正体を見透かされないよう注意を払う姿勢に、茂木外相の性格が強く現れているのではないでしょうか。


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そして……終わりの終わりに。


外務省のHPや海外で報じられる各国政権の活動を調べると、このインドやイタリアなどのような
『何故ここまで敵視するのか判らない』くらい露骨な反感を見せる政権が最近増えているのに気が付きます。

特別に深い関係もなく、あるいは米中対立を通して関係が悪化するような状況でもない国で。

実際のところ、その底流は判明しません。

少なくとも、新興勢力と既存大国の対立図形とか
『経済的選択を相手に与えない』『透明性に欠ける国際秩序を志向する』アンチグローバルな勢力とそれ以外、といった二元論的思考では、その底流を掴むことが困難なものです。


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私が今考えているのは、この日本への敵意の正体を洗い出し、対処する事こそ第四次安倍再改造内閣の急務ではないか、ということです。

そして茂木外相の二元論的、また最終的にアメリカ頼みとなる外交がその作業の足枷にならないか、少々心配ではあるのです。



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NDPIと教皇訪日とGSOMIA……三つの核の物語

はじめに:


元々、今回は11/22~/23に行われたG20愛知・名古屋外務大臣会合(G20愛知・名古屋外務大臣会合ホームページより)での会談内容を元に、茂木外相の外交的性格を読み取る予定でした。

しかし、今回の会合で取り上げられたテーマは従前のものと変わりなく、また語られた内容も具体的な新機軸に乏しいもので、茂木外交の性格まで読み取ることは、残念ながら私には困難です。


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※すみません。こんな事を書いているうちに
G20ホームページに議長国記者会見という興味のわく記事が掲載されました。後日改めて文章作成予定です。


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そもそもG20外相会合は、本会合や財相会合などと比べて重要性に乏しいとされ、今回も外相会合と銘打ちながら多くの外相が副大臣に代行出席させる状況です。
G-20 foreign ministers agree WTO reforms 'urgent' amid trade war
(The Mainichi紙 2019/11/23)

海外報道でも会合内容に触れたものが殆ど見当たらず、関心は例えば日韓関係や直近のドイツ・トルコ関係といった二国間関係に集まっております。
German politicians urge Turkey to release embassy lawyer
(DW紙 2019/11/22)


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……このような少々残念な結果に際して、目を引いたのがG20外相会合後に行われた第10回軍縮・不拡散イニシアティブ(NPDI)外相会合…外務省HP 2019/11/23でした。

なぜ目を引いたのか?

それは丁度、<この時期に核に関する国際的事象が三軒、日本界隈で立て続けに発生したからです。


……という、少し無理筋の話を記させて頂きます。


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1. 第10回NPDI外相会合の開催


NDPIとは、『軍縮・不拡散イニシアティブ(NPDI)外相会合』外務省HP 2019/10/28掲載資料

〉2010年5月の核兵器不拡散条約(NPT)運用検討会議における合意事項の着実な実施に貢献すべく,国連等の場において現実的かつ実践的な提案を行うことにより,国際社会の取組を主導し,NPT加盟国間の橋渡し役を目指す

とあるように、参加諸国の思惑で混迷するNPTを
軍縮に向けて前進させるため、より効果的な核兵器管理ルールの提案(例えば所有兵器の報告フォーム改正案)や核保有国・非核保有国との調整などを行う、日本・オーストラリア提唱の有志国イニシアティブです。


さてこのNPDIの外相会合は、原則国連総会など他の国際会合の機会を利用して行われることが多いのですが、先日の第10回会合は10/28の外務省HPにある通りG20外相会合に際して行われる、という少々特殊な日程でした。

前述したようにG20加盟国ですら外相参加者が少ない会合の機会に、G20メンバーと重ならないNPDI有志国も参加すべき会合を行った訳です。

前回から1年足らずの期間で開催。予定発表も開催1ヶ月を切る状況。それも8/27には河野前外相が出席した高級実務者会合が行われたにも関わらずです(第8回第9回外相会合では約3年のブランクがあります)。

まして今回の会合の内容には特に目新しい点もなく、前回の高級実務者会合との間にNPT関連のイベントも発生していません。


……この日程決定の理由について、ひとつ思い当たる事がありました。同11/23に来日した、ローマ教皇フランシスコ台下の存在です。


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2. フランシスコ教皇のスピーチ


ローマ教皇 長崎 広島でのスピーチ(全文)
NHK News Web 2019/11/24


Francisco en Nagasaki: “El dinero que se emplea en las armas es un atentado continuo que clama al cielo”
Vida Nueva digital紙 2019/11/24
(恐らく長崎での発言とほぼ同じものだと思われます)


「私たちの世界は、手に負えない分裂の中にある」フランシスコ教皇が語ったこと(核廃絶スピーチ全文) 
Buzzfeed紙 2019/11/24


ローマ教皇「世界覆う不信、打ち壊す」 スピーチ全文
日本経済新聞 2019/11/24


ローマ教皇フランシスコ台下との会談等
官邸HP 2019/11/25


Pope Francis proposes international process to abolish nuclear weapons
RomeReports紙 2019/11/25
(首相会談に際しての教皇側の発言)


……取り敢えず、フランシスコ教皇の日本での発言内容について、発言そのものを掲載した記事を可能な限り集めました。


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教皇台下のスピーチに対して、新聞やテレビの報道では『核廃絶』をクローズアップし、時には『核の傘の下』にいる日本への批判が為されたような報道も見かけられます。

ネット界隈ではその訴えの単純さ、或いは「核抑止力論を批判」などの報道を元に、現実性に欠ける旨指摘する意見も散見されます。


日バチカン、核めぐり溝 ローマ教皇来日で浮き彫り
時事通信紙 2019/11/26

教皇「二度と原爆投下ないように」 首相官邸演説、政府「核の傘」依存変えず
東京新聞紙 2019/11/26


※国内報道のみ提示しましたが、このようなミスリードは海外報道でもほぼ同様です。この件については核についてのメディアの共通認識だけでなく、教皇の敵と一部メディアが任ずる相手に対する、彼らの共通認識も影響している事を付け加えておきます。
Pope says Trump is ‘not Christian’ for wanting border wall; Trump brands comment ‘disgraceful’
(South China Morning Post 2016/02/19)


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しかし長崎でのスピーチを良く読めば、「核兵器を廃絶しましょう」「核による相互武装で平和は訪れない」などという単純な話で結論付けてはおらず、以下のパラグラフにこそ今回フランシスコ教皇の語った内容が集約しているのが判ると思います。


〉今、拡大しつつある、相互不信の流れを壊さなくてはなりません。相互不信によって、兵器使用を制限する国際的な枠組みが崩壊する危険があるのです。
〉わたしたちは、多国間主義の衰退を目の当たりにしています。それは、兵器の技術革新にあってさらに危険なことです。
〉この指摘は、相互の結びつきを特徴とする現今の情勢から見ると的を射ていないように見えるかもしれませんが、あらゆる国の指導者が緊急に注意を払うだけでなく、力を注ぎ込むべき点なのです

(上記 NHK News Webより)


加盟各国の思惑によるNPTの迷走WTOなど国際機関の機能不全やG7・G20サミットでの二国間交渉重視の姿勢。
このパラグラフに集約されているように、核廃絶に向かうためのステップとしての軍縮交渉すら困難な現状とその理由を十分認識した上で、不断の努力で国際的会合の場での核軍縮に向けた交渉を主張していたのです。


そして同様の発言は安倍首相との会談でも為され、首相からは以下のスピーチがなされました。

〉日本とは、唯一の戦争被爆国として、『核兵器のない世界』の実現に向け、国際社会の取組を主導していく使命をもつ国です。これは、私の揺るぎない信念、日本政府の確固たる方針であります。
〉私たちはこれからも、核兵器国と非核兵器国の橋渡しに努め、双方の協力を得ながら、対話を促す努力において、決して倦(う)むことはないと、ここに申し上げます

(上記 官邸HPより)


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……前振りが長くなりました。

核兵器国と非核兵器国の橋渡し』、どこかで見た言葉ですね。
はい、第1章で記したNPDIの活動概要です。

長崎スピーチでのアジェンダ2030言及に対して、首相が「ただ一人として、見捨ててはならない」という言葉で“拉致被害者まで含めて”救済する旨返答した事も合わせ、第10回NPDI外相会合の急な開催も、教皇台下来訪に合わせ混迷するNPT運用検討会議に対してNPDIが先導していくために、教皇スピーチが後押しとなるよう意図的に日程を組んだものだと考えられるのです。


※なお、これが茂木外交の成果と言えるのか、は微妙でしょう。何しろ11/26の外務大臣会見記録(外務省HP)における


〉【朝日新聞 楢崎記者】関連して,教皇はスピーチの中で,核抑止力を否定されるような内容もありまして,日本はアメリカの核の傘に入る現実がありますけれども,このスピーチでの受け止めと,発言の影響についてはどのようにお考えになりますか。

〉【茂木外務大臣】今,申し上げたように重く受け止めております。


といった返答を見る限り、外相は今回のバチカン外交もNPDIもあまり関与しておらず、自ら積極的に関わるほどの重要性も認識していなかった(あるいはメディア主導の反論に躊躇した)のではないかと思われます。
この点、教皇の言動を日本政府の行動と正の方向にリンクさせようとした安倍首相のスピーチとは対称的です。

G20の記者会見でもそうなのですが、その意味で茂木外交の特徴は強い優先順位指向と言えるのかも知れません。自分の興味外の事にはかなり消極的なのです。


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……さて、この時期の核絡みの話題はもう一つあります。核との繋がりが微妙に忘れられていますが、11/23の韓国によるGSOMIA破棄撤回です。


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3. GSOMIA破棄撤回と、オーストラリアの暗躍


……本当はここで破棄撤回されたGSOMIAや、その原因となる3品目輸出管理厳正化について述べるべきなのでしょうが、経緯の余りの馬鹿馬鹿しさゆえ改めての説明は行いません。
唯一言いたいのはGSOMIA破棄の発端が元々核兵器原料の話、韓国国内でのフッ化水素の不明使途であった事です。


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GSOMIA破棄期限の11/22に際し、実はオーストラリア政府があるアクションを起こしました。連邦国防大臣を日本に、外務大臣を韓国に派遣していたのです。

Visit to Thailand and Japan
(国防省HP 2019/11/15)

Visit to the Republic of Korea and Japan | Australian Minister for Foreign Affairs, Minister for WomenVisit to the Republic of Korea and Japan
(外務省HP 2019/11/20)


防大臣の訪日目的は首相防衛相との会談(共に防衛省HP)と、オーストラリア武器産業による国防貿易会合への参加、
外相の訪韓目的は、対北制裁の維持と半島の完全で検証可能な不可逆的な非核化を含む平和支援と、女性相としてジェンダーに関する家族相との会談(外相Twitter)とされています。

国防大臣Twitter外務大臣Twitter


ただしLinda Reynolds国防相の日本での行動と比較して、Marise Payne外相が韓国で防衛外交あるいは非核化に関する活動を行った、という情報は何一つ見つかりません。

そしてGSOMIA破棄の撤回が発表された11/22、その翌日行われるG20外相会合等のため日本に向かいました。
11/22午後5時、GSOMIA破棄撤回の発表直前に急遽G20外相会合参加を表明した(NHK NewsWeb 2019/11/22 18:27)康京和韓国外相と同じように。

この事から見ても、オーストラリア外相の訪韓目的がGSOMIA動静に関係していることが判明します。更に言えばGSOMIA破棄撤回公表後、康京和外相が国際会議の場に姿を現すよう、Payne外相がしっかり見張っていた訳です。

……そして、当のG20外相会合では中々面白い素材を提供してくれました。

G20愛知・名古屋外務大臣会合(外務省HPより)


この『集合写真』では、向かって左端には法律関係者拘束の件で紛糾するドイツ・トルコ外相を据えた一方、右端では康京和韓国外相を挟むようFederica Mogherini EU外務・安全保障政策担当上級代表と、件のMarise Payne豪州外相が控えているのです。

まるで激動の最中にいる康京和女史を、二人の女性閣僚が支えているように見えます。実情を知ると某SFチックな写真を彷彿とさせる光景ですが。

なお、この二人が康京和女史に近づいたのは、別に彼女との会談を希望していたからではありません。

康京和外相の出席が急に決まった背景からして、Mogherini上級代表はスケジュールを空けることが困難だったとしても、数日前から韓国に滞在したPayne外相すら、表向きには会談を行っていない……豪州政府が発表した訪韓目的を達成していないのです。


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……今度は、康京和外相自身の緊急訪日の動機を考えてみましょう。


輸出管理への対抗にGSOMIA破棄を持ち出した韓国の政策について、各国の外交筋でもまともに評価する者はいなかったでしょう。
今回の破棄撤回についても、その後の韓国政府からの諸発言からも判るように、状況引き延ばしを安堵する感想がありこそすれ、国際的に撤回そのものすら前向きに評価され得ないものです。

そしてそのことは、GSOMIA破棄撤回が表明される直前に訪日発表を行った康京和外相自身が感じていたと思われます。
数刻後のことは勿論、その後の韓国政府の対応も既に知っていたでしょうから。

一方の韓国政府も本心、GSOMIA破棄を撤回したこの時点でも、外相会合出席や日韓外相会談は一旦避けたかったでしょう。実際このタイミングでの会談は、国内の強硬派に重大なメッセージを伝えた訳ですから。

その韓国政府を、康京和外相を通じて晒し者にさせるべく、G20外相会合の場に連れ出したのはMarise Payne外相の手腕だったと推測されます。


……さて、Payne外相が手にした、康京和女史や韓国政府に決断を強いるほどの決め手は一体何だったのでしょうか?


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このG20外相会合の後、Payne女史が外相会合共同議長を務めたNPDIこそ、そのヒントとなるかも知れません。

確かにPayne外相は韓国国内では、家族大臣との会談を中心に文化関連の行動しか行っていません。オーストラリア外務省がアナウンスしていた、安全保障関連の会談を行っていないのです。それこそ韓国側から門前払いでも食らったかのように。
(その後の両外相の様子を見れば、このような事態ではなかった事が推測できるでしょう)


ただし、Payne外相が何らかのメッセージを持って韓国政府に非公式のアプローチを行った可能性があります。外務省の公式発表は勿論、自らのTwitterにも掲載出来ないようなメッセージを持って。

そしてこのメッセージは、恐らく日本あるいはアメリカ側から伝えても効果を上げられない類のものでしょう。エスパー長官を始めとするアメリカの国防官僚陣がそれまでいかなるメッセージを伝えても、韓国政府はGSOMIA破棄の意志を曲げず、またGSOMIAの結論に直結するG20外相会合への参加についてもコメントを避け続けたのですから(恐らくは破棄期限直前のポンペオ国務長官による電話会談すら無意味だったと思われます)。

Payne女史が伝えたからこそ、康京和外相が外相会合の場に追い立てられたメッセージ。それは必然的に、韓国政府がGSOMIA破棄撤回を決断するだけの価値が有るものです……そしてそれは恐らく、Payne女史が共同議長の権限として、NDPI会合の議題に提示出来るものだった。
これが私の結論です。


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理屈としては、飛躍し過ぎでしょうか?

確かに、言質の取り得る証拠はなく、あくまで

  • オーストラリアが安全保障関連の協議を行うべく、GSOMIA破棄期限直前の日韓に閣僚を派遣していた
  • そのうち韓国では、オーストラリア側がNDPI会合等多忙な状況を押して訪韓したにも関わらず、表向き会談等が行われなかった
  • GSOMIA破棄は結局撤回され、康京和外相は急遽日本へ。オーストラリア外相も同様に日本へ
  • 康京和外相はG20外相会合及びの代表と会談後帰国、オーストラリア外相はG20会合後NDPI外相会合を主催、その他各国との会談もこなして帰国


……公開された事実はこれだけです。

  • 結局オーストラリアは、機会があったのに韓国との安全保障会談を行わなかったのか?
  • Payne外相の訪韓は、NDPI外相会合の直前に行わなければならなかったのか?
  • オーストラリアは何故、GSOMIA破棄のボールを持つ韓国だけでなく日本にまで(Payne外相に訪韓に先んじて)Reynolds国防相を派遣したのか?
  • 韓国政府のGSOMIA破棄撤回の決め手がPayne外相からのメッセージだとして、それは何処から入手したのか?
  • そもそもGSOMIA関連の外交的勝敗って、「日本側が輸出管理を復旧するか」ではなく「韓国の大量破壊兵器原料の使途について、日本側の懸念を国際的に共有出来るか」だよね。
  • もし韓国政府がGSOMIA破棄に踏み切った場合、Payne外相はNDPI外相会合に新たな議題を用意するつもりだったのでは?

もし私の推測通りであれば、これら多くの疑問がすっきり解決するのですが……あくまで状況だけですね。


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……以上、三つの核の物語について記しました。

恐らく三つの物語に統合的な計画者が居るわけではなく、それぞれの機会を利用した、というだけの事でしょう。それぞれの機会に際して活用した人、暗躍した人、頬かむりした人……それぞれの対応を垣間見る事が出来たのは、今回の思わぬ収穫であったと思います。

即位の礼・来賓会談一覧…補足文章

『即位の礼・来賓会談一覧』の補足文章を作成いたしました。


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1: 即位の礼と同時期に行われた国際会合その他


……即位の礼及び会談が行われた10月下旬に行われた他国主催の主な国際行事と、日本主催の行事について


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1-1: ロシア・アフリカサミット


ロシア・アフリカサミットが初開催、多様な分野で経済連携を推進
(JETROホームページ 2019/10/31)


…日本ではTICADの形で行われる、アフリカ諸国の首脳などを集めて行われる協力会議です。
ロシアからの来賓が首脳級でなかった理由であると共に、アフリカ来賓国のうち日本で閣僚級会談に応じたのが10ヶ国程度に収まった理由こそ、このロシア・アフリカサミットではないかと思われます。

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1-2: NAMサミット


18th Summit of Heads of State and Government of Non-Aligned Movement gets underway in Baku
(Chinadaily紙 2019/10/28)


今回アゼルバイジャンが主催した、非同盟運動(Non-aligned-movement)参加国による会合。東西どちらの陣営にも公式には所属していない国家による会合です。
日本からは日本アジア・アフリカ・ラテンアメリカ連帯委員会が日本で唯一会合に参加している団体との事ですが、今回のアゼルバイジャン会合については確認出来ませんでした。なおロシア来賓が訪日に際して同委員会の代表理事と会談を行っています。

1-3: インドネシア大統領就任式


ジョコ大統領、2期目の就任演説で2045年の先進国入り表明
(JETROホームページ 2019/10/25)


ブルネイ国王や米露来賓など、即位の礼来賓と被る参加者のほか、近隣各国首脳が出席しています。


即位の礼に出席した諸国は、これら会談を掛け持ちしたり、別の来賓を外遊させたりしていました。


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1-4: G20岡山保健大臣会合


G20岡山保健大臣会合HP


……G20閣僚級会合として、即位の礼数日前に行われたのがこの岡山での保健大臣会合です。
会合参加者のリストが見当たらず、ngazete紙 2019/10/20able紙 2019/10/21Dutchnews紙 2019/10/18
などで確認出来る名前を追った限りですが、保健大臣会合後に即位の礼来賓に合流した等の報道はありませんでした。

なお、同会合についてはインドが積極的に取り上げていますが……逆に言えばインド以外の報道は微妙に冷淡であり、インド側が記す二国間会談についても他国では全く触れられていません。

※この保健大臣会合でも触れたUHCについては、いつか文章に出来ればと思っています。

1-5: G20北海道観光大臣会合とTEJ観光大臣会合


G20観光大臣会合HP
TEJ観光大臣会合…ツーリズムEXPOジャパンHP
詳細はトラベルWATCH紙2019/10/25が詳しいかと。


……こちらは、同時期に行われたG20の観光大臣会合と、それに並行する形で行われたツーリズムEXPOジャパン主催の観光大臣会合です。より多くの各国観光関係者が訪日する事を目的としていたのかも知れませんが……片や北海道、片や大阪。南アフリカやスイス・ベトナムの関係者は両会合掛け持ちだったようです。

恐らく随伴来賓がこれらの会合に参加した可能性はあるのですが、トルコのMehmet Ersoy観光大臣のような主来賓が参加した話は出て来ませんでした。


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1-6: おまけ・GCF第一次増資ハイレベル・プレッジング会合

緑の気候基金(GCF)第1次増資ハイレベル・プレッジング会合(結果)
(外務省HP 2019/10/28)

……鈴木外務副大臣が出席予定であったものが、急遽欠席することとなった異例の会合です。

さて、鈴木外務副大臣が急遽キャンセルした理由ですが、出張前日に鈴木氏が出席した「日サウジビジョン2030閣僚会合(外務省HP 2019/10/24)」、菅原一秀経産相が主催した会議が原因ではないか、と思われます。

元々茂木氏と菅原氏は経産省時代の大臣・副大臣という間柄でした。恐らくはこの両者の関係を基に、両省庁で連動した外交政策を計画していたのではないでしょうか。

実際のところ菅原氏の失脚が最も堪えている閣僚は、巷で囁かれている菅官房長官ではなく茂木外相だったのではないか……というのが、私個人の結論です。


今後の外交に響かなければ良いのですが。


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2: 来賓国の外交


……来賓として訪日した各国代表者にとって、即位の礼は安倍首相や日本政府との繋がりの他、民間等との接点を持つための格好の機会となりました。

また、同じく即位の礼に際して訪日した諸国来賓との会談を行うための格好の場でもありました。


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2-1: 外務省HPに触れられない会談など


主に行われたのが、友好議連による会談です。逢沢一郎議員の名前が多く出ているのはそのためです。

また、衆参両議院の議長(大島理森山東昭子自民党議員)及び副議長(赤松広隆小川敏夫立憲民主党議員)との会談も行われています。

安倍内閣の閣僚が省庁の代表として会談したのは、
前述の菅原前経産相のほか、河野防衛相・河合前法務相・小泉環境相が、それぞれの省庁が関係する事案について各国来賓と話し合いを行っています。

※西村経済再生相や北村地方創生相も各国来賓との会談を行っていたようですが、こちらは友好議連の立場でのもの、と考えられます。


……もちろんこれらの会談、更に民間企業や大学などの訪問についても、事前に外務省からの打電があったものでしょう。

いわば即位の礼に伴う諸会談は、本編で挙げた首脳会談等も含めて、外務省職員の地道な二国間外交の表出と言えるのではないでしょうか。

その目的はあくまで省益・職員個人の利益であり、国益に結び付かないものかも知れません。しかし時の政権や外相が外交政策を行うためのきっかけは、凡そそれまで培われた外務省職員による外交にかかっていると思っています。

※なお、各国の友好議連会長の逢沢一郎議員が、来賓との会談に応じる最中のTwitter中国による邦人拘束を非難していることを付記いたします。


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2-2: 即位の礼に際して行われた他国間外交


世界有数の国家による、かつ政治色の少ない儀式に際して来賓国同士での会談、或いは来日前後にアジア等への外遊が行われたのは本編の通りです。

特に東中欧諸国による他国間会談が目立っていますが、やはり対EUを意識した近隣国との外交的連携、あるいはEU依存脱却を視野に入れた日本を始めとしたアジアとの経済的連携が念頭にあるのでしょう。

……なお、他国間会談として今回目を引くのはやはり、日コソボ交流十周年セレモニーへのアルバニア大統領出席でしょう。

Albanian daily news紙 (2019/10/23)

流れは本編アルバニアの項で触れていますが、
EU首脳会議で「セルビアコソボとの対話再開が基本条件」としてEU加盟を拒否されたアルバニアに対し、日本側がアルバニアコソボ間の対話再開のきっかけを作る形になりました。
※とはいえ直後のミニ-シェンゲンに関する西バルカン諸国会合では両者…というよりセルビア=コソボ間の対立が改めて浮き彫りになりましたが
Western Balkan leaders plot their own 'mini-Schengen' zone
(Euronews紙 2019/11/11)

「基本的価値の下で結束する欧州を支持し,『西バルカン協力イニシアティブ』の下,日本もアルバニアEU加盟に向けた取組を支援していく」という安倍首相の言葉を体現する行為だった訳です。


※あともう一つ、アメリカ民主党ナンシー・ペロシ下院議長が訪日直前のヨルダン・アフガニスタンを訪問した事も注目すべきでしょう。

ペロシ米下院議長、アフガニスタンを予告なしに訪問
(Reuter紙 2019/10/19)

ペロシ女史は元々アメリカ来賓決定に際し、結果としてペンス副大統領らアメリカ重鎮の出席を妨害した張本人であり、
即位礼に米からチャオ運輸長官が出席 ペンス氏は見合わせ
(産経新聞 2019/10/05)

更に来賓2ヶ国に訪日直前に手間をかけさせる事で(アフガニスタンに至っては予定無しの電撃訪問)、即位の礼に際して二重にケチを付けた訳ですから。


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3: 韓国外交部の話


……本編韓国の項で付けた4つの引用の繋がりが判りにくいかと思いましたので補足。


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韓・インド首脳会談 協力拡大を議論
(KBS world radio 2019/06/28)

G20大阪サミットで行われた韓印首脳会談ですが、この会談が行われた時間帯を調べると、対日的な色彩が巧妙に演出されたものでありながら、文在寅自身がその功績を台無しにした事が判明します。

実はこの首脳会談が行われた裏では、当初から安倍首相がG20大阪サミットの目玉として考えていたデジタル経済ルールの新枠組み、『大阪トラック』立ち上げ宣言が行われておりました。

首相「大阪トラック」の開始宣言 デジタル経済ルール作りの枠組み G20
(産経新聞 2019/06/28)

この『大阪トラック』に際して、インドは事前に行われていた閣僚級会合でも反対の立場をとっていましたが、G20当日の会合では遂に会議室に入ることすら拒否しました。

そしてインド・モディ首相が欠席したこの会合を、なんと文在寅はホン・ナムギ経済副首相に代理出席させ、その裏で首脳会談に及んでいた訳です。
「ファクトチェック」文大統領、G20首脳7つのイベントのうち4つの不参加
(朝鮮日報 2019/07/08)

当然ながら、『大阪トラック』を拒否したインド側は勿論、この日印対立に目を付け会談のセッティングを行った韓国外交部側も、文在寅からモディ首相に対してデジタル経済の枠組みに対する支援の申し出を期待していたかと思われます。
というより会合に欠席した両者の会談なのですから、普通に後には退けない状況でした……が、会談結果を見る限り、デジタル経済への言及は為されなかったようです。

結局、外交部がセッティングした会談の最低限を、文在寅はクリア出来なかった訳です。

同様の話は、即位の礼での李洛淵の行動にも見られます。
せっかく他国の来賓が政治的にフラットな立場で集結するのですから、そのような場で二国間外交を仕掛けて韓国との繋がりを深める事は、それ自体で日本に対する圧力と成り得ます。
訪日前後に韓国を訪問したジョージアやスペインのように、日韓関係に干渉してアジアでの影響力強化に努めようとする国家は恐らく存在したでしょう。しかし李洛淵は日本国内の議員団や経団連との会合に終始し、二国間外交を仕掛ける事は無かったようです。

この辺りを見ると、韓国政府中枢部の外交についての不信と無知が垣間見れるのではないでしょうか。

結局、韓国が日本で行った二国間会談は、
ロシアの観光庁長と面談するバクヤンオ長官
(Yonhapnews 2019/10/26)
G20観光大臣会合でのロシアとの会談だけだったと思われます。


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即位の礼・来賓会談一覧(未実施国)

こちらは、即位の礼・来賓会談一覧』
https://tenttytt.hatenablog.com/entry/2019/11/01/010719
の補助文章となります。ご了承願います。


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2. 即位礼に来賓は派遣、会談を行わなかった国一覧


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……一応、産経新聞Wikipediaでの即位礼記事を参考に、現地メディア記事等で確認しております。


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資料内容について

王: 王族と思われる来賓
大: 大統領相当と思われる来賓
首: 首相来賓
外: 首脳・外相会談時のみ記載(外相は原則「閣」)
閣: 閣僚級と思われる来賓(議院議長は原則除外)
配: 大統領夫人等、元首級配偶者による来賓
総: 総督来賓(イギリス諸島元首級)
元: 以前の大統領・首相経験者
日: 駐日大使(来賓名ほぼ不明、真偽確認困難)
他: その他議員・副大臣など来賓

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アンティグア・バークーダ

総: Rodney Williams

アフガニスタン

大: Mohammad Ashraf Ghani

  • 独立100年

イエメン

日:

イギリス

王: Charles

イタリア

他: Elisabetta Alberti Casellati

インド

大: Ram Nath Kovind

ウガンダ

閣: Ephraim Kamintu

ウズベキスタン

他: Tanzila Narbaeva

エジプト

閣: Khaled El Anany

エルサルバドル

閣: Felix Ulloa

オーストラリア

総: David Hurley

オーストリア

大: Alexander Van der Bellen

オランダ

王: Williem-Alexander

カーボベルデ

大: Jeorge Carlos Almeida Fonseca

カタール

大: Shaikh Tamin bin Homad

カナダ

他: Richard Wagner

ガボン

大: Faustin Boukoubi

ガンビア

他: Mariam Jack-Denton

ギニア

他: Saloum Cisse(現地メディア確認出来ず)

キプロス

配: Andri Moustakoudes(現地メディア確認出来ず)

キリバス

閣: Ruateki Tekaiara(現地メディア確認出来ず)

クウェート

元: Sheikh Ahmad Al-Jaber Al-Sabah

クック諸島

王: Tom John Marsters

ケニア

大: Uhuru Kenyatta

コスタリカ

配: Claudia Camargo

コモロ

大: Azali Assoumani

サモア

王: Vaoleto'a Eti Sualauvi 2

ザンビア

閣: Joseph Malanji

サンマリノ

閣: Nicola Renzi

シエラレオネ

大: Abass Bundu

ジャマイカ

他: Tom Tavarez-Finson

ジンバブエ

他: Simbarashe Mumbergegwi

スイス

他: Viola Amherd

スウェーデン

王: Carl 16 Gustaf

セーシェル

閣: Vincent Meritah

赤道ギニア

他: Gaudencio Mohaba Mesu

セネガル

閣: Amadou Hoff(現地メディア確認出来ず)

ソロモン

総: David Vunagi

タンザニア

閣: George Mkuchika

チャド

他: Achta Saleh Damane(現地メディア確認出来ず)

チリ

元: Eduardo Frei Ruiz-Tagle

デンマーク

王: Frederik

トーゴ

大: Faure Gnassingbe

ドミニカ共和国(ドミニカ国とは別)

他: María Ángeles García外相夫人とされるが、資料見当たらず確認困難

トンガ

王: Tupou 6

ナイジェリア

日:

ニュージーランド

総: Pasty Reddy

ノルウェー

王: Haakon

バチカン

閣: Francesco Monterisi

バハマ

日:

パプア

総: Bob Danae

バルバドス

総: Sandra Prunella Mason

バングラデシュ

大: Abdul Hamid

フィジー

大: Jioji Konrote

フィリピン

配: Sara Duerte(娘)

ブルンジ

閣: Ezechiel Nibigira

ペルー

閣: Francisco Enrique Hugo Petrozzi Franco

ポーランド

配: Agata Duda

  • 一部報道でDuda大統領も来日、と誤報あり

ポルトガル

元: Amibal Antonio Caraco Silva

マリ

他: Issaka Sidibe(現地メディア確認出来ず)

マルタ

大: George Vella

南アフリカ

他: Mashego-Dlamini(現地メディア確認出来ず)

南スーダン

閣: Kuol Manyang

メキシコ

閣: Olga Sanchez Cordero

ラオス

閣: Phankham Viphavanh

リビア

日:

香港

首: Carrie Lam

台湾

元: 謝長廷

即位の礼・来賓会談一覧

第四次安倍再改造内閣の外交については、現時点では首相や外相から具体的な方針の話が無いこともあり、自分の中では評価がくすぶっています。

とはいえ何も調べないのもアレですので、即位礼に関わる国外来賓に対する、首相や外相その他の対応について、50音別でデータを纏める事にしました。


………………………………………

……なお今回の内容については、訂正があまりにも頻繁に行われると思われますので、特に「追記」「訂正」のアナウンスは行いません。生暖かい目で見守って下さい。


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2019/11/22補足

補足文章を作成いたしました。
https://tenttytt.hatenablog.com/entry/2019/11/18/202605


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資料内容について


○…安倍首相会談 □…茂木外相会談
◇…麻生財相会談 △…他会談等(外務省報告)
注) 晩餐会での会談や議員等の会談は対象外です


王: 王族と思われる来賓
大: 大統領相当と思われる来賓
首: 首相来賓
外: 首脳・外相会談時のみ記載(外相は原則「閣」)
閣: 閣僚級と思われる来賓(議院議長は原則除外)
配: 大統領夫人等、元首級配偶者による来賓
総: 総督来賓(イギリス諸島元首級)
元: 以前の大統領・首相経験者
日: 駐日大使来賓
他: その他議員・副大臣など来賓


『共有』:

  • 相手国を「自由、民主主義、基本的人権、法の支配、市場経済に基づく普遍的価値観を共有する国家」として、会談時に日本側が言及した事。

会談を行わなかった国はこちらまで


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1. 会談国一覧(○首相 □外相 ◇財相 △他)


首相:62ヶ国

外相:13ヶ国(欧州4 中南米2 中東1 アフリカ2 大洋州2 アジア2)

財相:4ヶ国(キューバ ギリシャ チェコ 中国)


………………………………………

アイスランド  『共有』

大: Gudni Thorlacius Jahannesson

アイルランド  『共有』

他: O'Donovan

アブダビ(アラブUAE) 

他: Sheikh Hazza bin Zayed(王族?スルタン・ジャーベル他閣僚クラスは同行扱い)

アメリ

閣: Elaine Chao

アルゼンチン 

日: メルスコール四国駐日大使として表敬。
即位礼には閣僚Gabriera Michetti

アンドラ  『共有』

閣: Maria Ubach Font

イラン 

閣: Laya Joneydi

ウクライナ  『共有』

大: Volodimir Zelensky 外: Vadim Prystaiko

ウルグアイ 

日: メルスコール四国駐日大使として表敬。
即位礼はRodolfo Nin Novoa

エスワティニ(旧スワジランド) 

大: Mswati3

オマーン 

閣: Sayyid Assad bin Tariq

ガーナ 

他: Charles Owiredu 即位礼 Rebecca Akufo-Addo大統領夫人

カザフスタン 

元: Nursultan Nazarbayev

ギリシャ 

閣: Panagiotis Pikrammenos

グアテマラ  『共有』

大: Jimmy Ernesto Morales Cabrera

コソボ 

大: Hashim Thaci

  • コソボ兼勤駐在官事務所が来年開設

コンゴ民主共和国 

閣: Marie Tumba Nzeza

  • Felix Tshisekedi大統領が即位礼出席予定であったが急遽キャンセルとの情報も。

サウジアラビア 

王: Turki bin Mohamed bin Fahd

スペイン  『共有』

王: Felipe6 外: Josep Borrell Fontelles

スロバキア  『共有』

大: Zuzana Caoutova

セルビア 

首: Ana Brnabic

  • 首脳会談について、外務省HPで触れなかった一節があったとの現地報道については、皆様ご自身でご確認ください。

セントクリストファー・ネビス 

日: Jasmin Huggins (即位礼は閣僚)

セントルシア 

他: Edwin Laurent

ソマリア 

閣: Abdulkadir Ahmed Kheyr Adbi

タイ 

首: Prayut Chan-o-cha

チュニジア 

日: エルーミ大使

ツバル 

閣: Simon Robert Kofe

ドイツ 

大: Frank-Walter Steinmeier

ナウル 

大: Lionel Rouwen Aingimea

ニカラグア 

閣: Denis Moncada

ニジェール 

大: Issoufou Mahamadou

ネパール 

大: Bidhya Bhandari

バーレーン 

王: Salman bin Hamad Al Khalifa

ハイチ  『共有』(鈴木副大臣)

閣: Bocchit Edmond

パキスタン 

大: Arif Alvi

パナマ 

大: Laurentino Cortizo Cohen

パラグアイ 

日: メルスコール四国駐日大使として表敬
  即位礼は閣僚Hugo Velazquez Moreno

パレスチナ 

大: Mahmoud Abbas

ブータン 

王: Jigme Khesar Namgyel Wangchuck

フランス 

元: Nicolas Sarkozy

ブラジル  『共有』

大: Jair Bolsonaro 外: Ernesto Araujo 及びメルスコール四国駐日大使と表敬

ブルネイ 

王: Hassanal Bolkiah 外: Dato Seri Setia Haji Erywan bin Pehin

  • 首相より「経済多角化には日ブルネイ技術協力協定の早期締結が重要であり,国王陛下の指導力に期待する」(詳細不明)・日本産食品輸入規制解除(上記外務省HP及び当該HPベースと思われるメディア以外での情報見当たらず)

ベルギー 

王: King Philippe

マレーシア 

王: Al-Sultan Abdullah

ミクロネシア 

大: David Panuelo

ロッコ 

王: Moulay Rachid

モンテネグロ 

大: Milo Djukanovic

レソト 

王: Letsie 3

ロシア 

他: Umakhanov Iliyas-Magomed Salamovich

韓国 

閣: 李洛淵

  • 韓国については、国内外各報道をご確認ください。なお、国内議員や財界については錚々たるメンバーと会談を行っていますが、李洛淵と他国来賓の二国間会談についての情報は当た事のみ付記致します。

国連 

他: Naria Luiza Ribeiro Viotti

EU 

他: Federica Mogherini

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即位の礼当初から下書きを始めて、やっと一区切りです。大嘗祭に間に合いませんでした……

第四次安倍改造内閣の回顧(6:完結)

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『第四次安倍改造内閣の回顧(5)』
https://tenttytt.hatenablog.com/entry/2019/10/10/151259
の続きとなります。今回で完結となります。


なお一連の文章の目次については、下記ページまで
https://tenttytt.hatenablog.com/entry/2019/10/10/135429


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発足当初は自由貿易の旗手として、またG20大阪サミットの主催国として国際秩序の強化を目指した第四次安倍改造内閣は、
2019年5月以降のトランプ外交強硬化を受け、アメリカを中心とする国際情勢の変化に即応出来る態勢に変化しました。

一方で、対韓外交は韓国自体に対する統一した無視・反論・断絶による報復政策へと拡大し、かつ日韓関係についてはアメリカによる干渉すら受け付けない強硬姿勢を隠さなくなっています。


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……そして2019/9/11新たに発足した第四次安倍再改造内閣は、この新しい外交方針を確定させるものとなりました。

この再改造内閣について、現状では判断は付けられません……が、特に8月の韓国GSOMIA離脱という防衛上の危機に際しても、防衛省トップに軍事的素養を持つ人物ではなく外交に明るい河野氏が就任した事、更に外相に元経産相の茂木氏、経産相には茂木経産相時代の副大臣菅原氏を起用した事は注目に値するでしょう。


「自由で開かれたインド太平洋」のもと同エリアの外交を一部河野氏が分担、茂木氏には対米経済交渉に注力させた上で、交渉結果を菅原氏を通じて国内システムに反映・対応させる……という判りやすい設定はともかく、
GSOMIA破綻に象徴される韓国の混迷に際してすら、一時的な軍事衝突への対応より防衛外交・日米交渉・対韓経済外交を重視している、という意味ですから。

平たく言えば、中鮮韓による軍事的緊張などよりも韓国の文在寅体制崩壊を視野に入れ、それに伴う米韓からの韓国新政権支援依頼に抵抗し、如何に国益に叶う交渉を行うかに特化した内閣という事です。


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終わりに: 首相所信表明に見る新たな日本外交


……さて、このような外交的視点から、改めて先日発表された第200回国会における首相所信表明を、今年1月の第198回施政方針演説と比較してみましょう。


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中国政策からは米中対立の激化に伴い、二国間の親和政策は維持するものの、国際秩序への回帰を示す「国際スタンダードの下で競争から協調へ」「互いに脅威とはならない」「自由で公正な貿易体制を共に発展させていく」3原則が除外されました。

日本国内の政策から第四次産業革命の項目がごっそり抜けたのも、AIやIoT更にSociety5.0の基盤となる5G技術の民間早期普及が暗礁に乗り上げたからですが、この件も対中国政策がすべからく米中関係を前提とする状況に陥った事を示しています。


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ロシア政策からは「次の世代に先送りすることなく、必ずや終止符を打つ」決意と、その基盤となるプーチン大統領との信頼関係についての記述が除外されました。
解決困難な交渉は「着実に前進」という言葉で先送りにし、二国間関係をフラットな状況…米露関係に応じ何時でも変化出来る状態に戻した訳です。


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北朝鮮政策からは「過去の清算と国交正常化」を除外し、「条件を付けずに向き合う」という5月以降の発言をそのまま採択しました。

これは中露などと異なり、例えトランプ=金正恩交渉が悪化してもダイレクトに日鮮関係に反映させず、別窓口による再交渉の余地を与えた意味もありますが、
一方で金正恩体制が過去の清算や国交正常化を俎上に上げても、今後は交渉の材料と見做さない事も指しています。

また交渉成功の代償として北朝鮮から要求されうる経済協力は、全てその後の日米交渉を経て検討され、アメリカからの協力要請には茂木・河野体制でタフに応じるという意味でもあるのです。


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イラン政策、というより外交政策自体から中東及びアフリカ政策が除外されました。

これは単に、対イラン外交に明確な方針を出さず、明確なイニシアティブをEUアメリカの交渉結果に委ねながら、イランとの辞令的友好関係を維持しているという事だけでなく、
安倍首相が長年主張して来た「地球儀を俯瞰する外交」がいよいよ欧米とアジアまでしか手を伸ばさなくなったという意味でもあります。


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韓国を北朝鮮政策~唯一残った戦略パートナーの居場所から除外しました。
文政権に国際法の遵守を求める、そのための圧力を軍という例外を認めず「韓国」の官・民・軍全てに掛けることを公言した訳です。

そして官・民・軍が圧力に負け、文在寅政権の無力化に成功した上で、米韓から関係復旧の要請があったとしても、北朝鮮同様茂木・河野ペアが迎え撃つという事です。

……8月の韓国GSOMIA離脱という文在寅政権の自爆行為が、日本外交が心置きなく方針を変更する後押しとなったのは言うまでも無いでしょう。

※なおこのGSOMIA離脱により、文在寅政権による明確な意図を持った軍事活動の可能性は幾分高まった可能性はありますが、
離脱に伴う米軍からの冷ややかな視線は、現場での突発的な事故……日本と自衛隊を愚弄した末の暴発行為発生確率を大幅に下げたと思われます。

岩屋氏がもっとも懸念したと思われる、レーダー照射をエスカレートさせる事態は、皮肉にも輸出管理厳正化を発端とする韓国GSOMIA離脱により回避された訳です。


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そして何より、

〉日米同盟を基軸としながら、我が国は、英国、フランス、豪州、インドなど基本的な価値を共有する国々と手を携え

……安倍首相によるトランプ政権への信頼は失われ、とうとう基本的価値を共有する国家からアメリカは除外されました。


第四次安倍再改造内閣が、基本的価値についての信用が置けないアメリカとの同盟関係……利益のみを求め合う関係を了承し、マイナス分は日米同盟を後ろ盾とした第三国との二国間交渉で補うことに奔走する「国益重視の外交」を採択した事が、今回の所信表明で改めて公表された訳です。

               (了)



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第四次安倍改造内閣の回顧(5)

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『第四次安倍改造内閣の回顧(4)』
https://tenttytt.hatenablog.com/entry/2019/10/10/150104
の続きとなります。


なお一連の文章の目次については、下記ページまで
https://tenttytt.hatenablog.com/entry/2019/10/10/135429


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2019年5月~6月に懸案された韓国向け3品目輸出管理厳正化、これを防衛省を交えずほぼ経産省主導で行ったことは、『韓国』全体を制裁する政策へと日本をシフトさせるために重要な行動でした。

そして、もう一つ。


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この時期の外交を象徴するもう一つの出来事、6/1の日韓防衛閣僚非公式会談ですが、経緯をざっと揚げると以下の流れとなっています。


5/9 日米韓防衛実務者協議
5/9 日韓防衛会談の準備について防衛省発表
5/18 岩屋氏、別府にて会談予定について講演
5/20 徴用工問題に関する仲裁委員会開催要請
   (この頃に輸出管理厳正化の方針決定か)
5/27 日韓防衛会談を「時期尚早」として中止
5/29 韓国国会議員団、渡邊美樹氏と会談
5/29 日露2+2会談
6/1 日韓防衛閣僚非公式会談
6/1 『2019年インド太平洋戦略報告書』発表
6/2 日米韓防衛閣僚会談
6/5 安全保障調査会で非公式会談が議題に
6/6 宇都隆史氏、官邸の会談制止意向を発表
6/7 非公式会談に対し、河野氏「資する」
6/10 小野寺氏「丁寧な無視」2月に続き発言
6/18 外交防衛委員会にて岩屋氏独断の旨発言
6/28~/30 G20大阪サミット
7/1 輸出管理厳正化・ホワイト除外関連発表


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……こうして時系列で見ると、5月の後半月で対韓政策の方針変更が浮き彫りになります。
特に5/9日米韓防衛実務者会談の時点では前向きに進んでいた日韓防衛閣僚会談が、5月末のギリギリの日程で中止されています。


またこの閣僚会談を中止させたのも、7月からの輸出管理政策と時期を並行させ、韓国国防部の屈服もしくは拒絶を促す強気の対談を行って欲しいという意向が閣内で醸成されていた事も見えてきます。


ただし、河野氏の「外交に資する」発言や小野寺氏の「丁寧な無視」発言に見られるように、対処する相手を文政権に留めるか、韓国そのものまで拡大させるかについては、この時点では未だ流動的であったようです。

※「丁寧な無視」の6月発言は他の時期のものと異なり、文政権崩壊後に対韓関係を回復させる旨はっきり言及しています。小野寺氏がこの時期にわざわざ自身の対文政権・対韓論を展開した…それ以外の時期は敢えて表現を抑制していることは着目に値します。


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さて、6/1の日韓防衛閣僚非公式会談の内容そのものについて、今回は詮索を行いません。防衛省からの発表やマスコミ記事、数多くのネット記事などをご覧頂ければ幸いです。

寧ろこの会談の評価、更に岩屋氏の発言力低下を決定付けた宇都隆史氏の視点の方が興味深いです。


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岩屋氏に対する抗議の前線に立ったのが、元自衛官外交防衛委員会の宇都隆史参議院議員であったのは一つの象徴でした。

岩屋氏のアドバンテージ「隊員への殺傷行為への懸念」について、現場上がりの宇都氏には殺傷の危険範囲を変更する事など容易でしたが、

  • 「(外務省による徴用工問題等への外交努力に際し)防衛省だけが『一歩前に、未来志向で』なんて有り得ない」
  • 「守らなくてはならないのは国益だ。ましてや今の岩屋氏の立場であれば守るべきは隊員だ」


という一連の言葉には、むしろ海外を飛び回った副大臣政務官自衛官上がりの外務政務官による、表側の外交運営者と防衛省の対外姿勢を直接リンクさせようとする思いが浮かび上がっています。

第四次安倍改造内閣の裏で、自分達の命を預け難い上司の下で危険に晒されたり、労苦の割に国益に直結しない外交補助に駆り出されるのではなく、表立って国益を守る立場に移行したい……そういう思いが。


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……実際のところ、宇都氏の背後で官邸サイドや防衛省・OBがどの程度後押ししたか確証はありません。しかし宇都氏のインタビューその他この時期に噴出した岩屋氏排斥論により、

  • 彼らの言う「官邸サイドの反対意見」があたかも官邸の主流のように、
  • それも対韓外交を無視・反論・遮断に統一し、外務省の活動と防衛省その他省庁が連動すべきだと官邸が判断したかのように、


自民党内外の世論を誘導したのは確かでしょう。


そしてこのインタビューを皮切りに、岩屋氏の発言権、更には韓国との交渉を継続・再開しようとする勢力、攻撃対象を文在寅政権に留めようとする勢力の発言力までが急速に低下し、
逆に「韓国」そのものへの制裁を主張する勢力、外務省と同じように自らの省庁も「韓国」に対抗しようとする勢力の発言力が強化されたのは、言うまでもありません。

この活動を狼煙として、5/28.29韓国議員団の来日時のように、自民党内部で韓国と繋がりを持つ「とされる」議員らの発言や行動まで抑制する事に成功しました。
更に言えば、文政権側と「韓国」を切り離して政権崩壊後の日韓関係を前向きに論じる事すら、「韓国」と繋がりがあると見做され、自民党議員また元防衛大臣でも命取りとなりかねない状況となったのです。

……あるいは首相さえG20サミット終了まで、或いは文政権が自爆するまでの建前として「韓国」を軍事連携の枠内と認める事すら、岩屋氏を矢面に立たせなくては出来なくなったのです。


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こうして、

G20大阪サミットの主催国として国際秩序の強化を目指した第四次安倍改造内閣は、5月以降のトランプ外交強硬化を受け、アメリカを中心とする国際情勢の変化に即応出来る態勢に変化しました。

一方で、対韓外交は文政権に対する国際秩序に則る無力化政策から、韓国自体に対する統一した無視・反論・断絶による報復政策へと拡大し、かつ日韓関係についてはアメリカによる干渉すら受け付けない強硬姿勢を隠さなくなっています。

この体制移行への皮切りが5月末の韓国議員団来日と6/1日韓防衛閣僚非公式会談に対する自民党議員の反応であり、仕上げが7/1の輸出管理厳格化アナウンスだった訳です。


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『第四次安倍改造内閣の回顧(6)』に続きます。
https://tenttytt.hatenablog.com/entry/2019/10/10/152921