岸田政権下のDFFT(3・終)DFFTとTrustと

小ネタ:「経済安全保障としてのDFFT」という言葉の補足からの続きとなります。 今まで自分が追って来たDFFTについて、現状の研究としてはこちらが最前線と言えるのでは無いかと思います。 www.meti.go.jp 大阪トラック以来伝統的なDFFT主管であった経産省に…

COP27の『化石賞』の話……の皮を被った、昨年COP26の背景と日本の環境政策の話

2022/11/06から開催中のCOP27に際し、環境NGOが11/09に今年初の「化石賞」として日本を指名したそうです。平たく言えば「またいつもの」という奴です。 www.huffingtonpost.jp >エジプトで開かれている第27回国連気候変動枠組条約締約国会議(COP27)で11月9…

小ネタ:「経済安全保障としてのDFFT」という言葉の補足

すみません。岸田政権におけるDFFTの話を纏めると記して1年、話の前提のひとつがなくなりそうな状況でしたので、恥ずかしながらその点だけ文章を記します。 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ もう半年前の話ですが、こちらの文章の最後、『日本国内におけるDF…

TICAD8:チュニス宣言に関する雑感

はじめに 前回触れていたチュニス宣言の件です。 www.mofa.go.jp 2022/08/27~/28、チュニジアで行われた第8回アフリカ開発会議(TICAD8)の閉会式において成果文書「チュニス宣言」が採択、その内容が8/29外務省HPに掲載されました。 前回2019年のTICAD7に…

小ネタ:TICAD8への西サハラ出席

数か月更新が空いてしまい申し訳ありません。あれからずっとDFFTの話下書きしてます。 *************** ……まあそれはさておき2022/07/27~/28、第8回アフリカ開発会議TICAD8が開催されました。 www.mofa.go.jp 会議の内容についてはチュニス…

岸田政権下のDFFT(2)G7・G20での変質:その③インドの暗躍と日本国内の変質

岸田政権下のDFFT(2)2021年G7・G20での変質:その②G20イタリアの続きとなります。 *************** 1.G20トロイカ主催国によるDFFTの変質 おわりに:日本国内におけるDFFTの変質 *************** 1.G20トロイカ主催国による…

岸田政権下のDFFT(2)2021年G7・G20での変質:その②G20イタリア

岸田政権下のDFFT(2)2021年G7・G20での変質:その①G7コーンウォールまでの続きとなります。 *************** 1.逆振れとなったG20イタリアサミット 2.G20トリエステ閣僚会合 3.岸田首相不在のローマG20 *************** 1.…

岸田政権下のDFFT(2)2021年G7・G20での変質:その①G7コーンウォールまで

はじめに・お詫び 大した理由もなく半年ほど執筆中断しておりました。 更にこれから展開するDFFT論についても、実は半年前にほぼ内容を書き終えたまま放ったらかしにしていたものです。引用する記事内容も知見もほぼ半年前の古いものです……が、実際のところ…

小ネタ:チェコ政権交代と台湾の小話

DFFTの話は一旦お休み……で、 www.jiji.com >バビシュ首相に対抗する野党5党が8日、連立政権の樹立で合意した。これにより、政権交代がほぼ確実になった 2021/10チェコ下院選挙で野党5党が過半数の議席を獲得、各党政策の調整の末2021/11/08に連立政権樹立…

岸田政権下のDFFT:経済安全保障とG20サミット(1)

はじめに 最初に、この一連の文章と補論を最後に今後デジタル方面にむやみに首を突っ込むことはやめようと思います。岸田首相が所信表明でDFFT(自由で信頼あるデータ流通)に言及したことで、今後もっと知見の深い方々が議論をいくだろうと思うからです。 …

スーダンクーデターおまけ2:インフレを背景に挙げなかった理由

……いい加減スーダンの話は切り上げるつもりだったのですが、表題の件について少々。 今回のクーデターに関する背景として、以前の文章ではスーダン東部の動向やイスラム法の否定などについては提示しましたが、他の記事やブログが掲載したようなインフレによ…

スーダンクーデターおまけ:ポート・スーダン閉鎖勢力

2021/10/27追加・修正 見出し及びポート・スーダンに関する基礎情報を中心に、文章を追加しました。 *************** はじめに 1. ベジャ・ナジールとポート・スーダン港閉鎖 2. 中露とポート・スーダンの関係記事抜粋 3. ダルフール……はあま…

備忘録:スーダンクーデター(2021/10/25)

mainichi.jp 以前に2019年のスーダンクーデターについて備忘録の形で文章を記しましたが、当時締結された選挙・民政移管過渡期として存在した軍民共同政権が崩れた形となります。 ちなみに現時点では合意内容にある2023年7月の選挙実施については覆さない旨…

小ネタ:岸田内閣で目についた、元外務副大臣とイタリアの話(2021/10/05追加あり)

www.sankei.com 明日2021/10/04、岸田新内閣が発足するという事です。まあいつもの事ながら目新しい話には興味が無いですし、閣僚それぞれの履歴がそのまま今後の政策にかみ合うかは分かりませんので。 ただ、一人だけ目についたのが >万博相に若宮健嗣元防…

安倍政権最後の外交:司法外交関連目次と概要

表題の一連の文章についての目次です 安倍政権最後の外交:京都コングレスとサイバー司法 コロナ禍による諸事情で菅政権下に延期された京都コングレス。その政治宣言から特徴と外交性について記しています。 安倍政権最後の外交(2):サイバー犯罪と国家帰…

安倍政権最後の外交(5・終):二つの司法外交が対峙したもの

安倍政権最後の外交(4):日本のサイバー司法外交……既存の国際法・規範の注釈・国際的義務からの続きとなります。 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 第4章:2つの司法外交の共通点と隠れた意志 はじめに:サイバー外交と京都宣言の共通点 受け入れに関する…

安倍政権最後の外交(4):日本のサイバー司法外交……既存の国際法・規範の注釈・国際的義務

第3章:国連サイバー安全保障委員会・OEWGと日本(その2) 前回、安倍政権最後の外交(3):サイバー空間での国際法適用のための日本の主張・抵抗3-1~3-2章からの続きとなります。 *************** 3-3:日本のサイバー司法外交の特徴(1)…

安倍政権最後の外交(3):サイバー空間での国際法適用のための日本の主張・抵抗

安倍政権最後の外交(2):サイバー犯罪と国家帰属の切り離しに対する日本 の続きとなります。 *************** 第3章:国連オープンエンド作業部会(OEWG)と日本 3-1:二つの委員会・GGEとOEWG概観 3-2:サイバー空間での国際法適用に関す…

安倍政権最後の外交(2):サイバー犯罪と国家帰属の切り離しに対する日本

第2章 はじめに 『安倍政権最後の外交:京都コングレスとサイバー司法』の続きとなります。 前回の文章から間が空いてしまい、その間に補論や小ネタで考え方を提示してしまった事から、話が重複している部分があります。ご了承ください。 なお一連の目次と概…

小ネタ:アフガニスタンに関する雑感……国家承認・ウイグル・和平合意の内容・物流回廊

2021/08/15、タリバンがアフガニスタン首都カブールを占拠してから数日が経過しました。実際のところアフガニスタン関連は興味の対象外でもあり、自分の意見をまとめることも出来ないのですが、雑感を少々。 *************** 1.タリバン政権…

2021/07/19産経記事『日米欧、中国政府機関関与のサイバー攻撃を公表』と日本外交の分水嶺

www.sankei.com >米国と日本、北大西洋条約機構(NATO)、欧州連合(EU)、英国やカナダなど機密情報共有の枠組み「ファイブアイズ」構成国を含む各国は19日、米マイクロソフトの企業向け電子メールソフト「エクスチェンジサーバー」が3月にサイバ…

2021/07/07、『次期サイバーセキュリティ戦略』に対する中国の反発

……小ネタと補論ばかりで申し訳ありませんが、2021/07/07にサイバーセキュリティ戦略本部から発表された『次期サイバーセキュリティ戦略』、うち資料1-1の5ページ目 https://www.nisc.go.jp/conference/cs/dai30/pdf/30shiryou01.pdf 中国・ロシア・北朝鮮は…

司法外交関連補論:2021年GGE最終報告書の個人的概説

はじめに この文章は安倍政権最後の外交:京都コングレスとサイバー司法 - 匿名に続く、日本のサイバー司法外交についての文章の補論として作られたものでした。本来であれば本論と同じタイミングで公開すべきものですが肝心の本論が長いこと行き詰ってしま…

司法外交関連補論:OEWG最終報告書の採択経緯について

はじめに この文章は安倍政権最後の外交:京都コングレスとサイバー司法 - 匿名に続く、日本のサイバー司法外交についての文章の補論として作られたものでした。本来であれば本論と同じタイミングで公開すべきものですが肝心の本論が長いこと行き詰ってしま…

小ネタ:G7サミット、中国のサイバー問題への言及無くなっちゃったね……(06/19文章追加)

1.欠けてしまった中国への非難内容 2021/06/11~/13、英国コーンウォール・カービスベイにてG7サミットが開かれました。 www.mofa.go.jp 今回のサミットでは対中国の強い懸念が表明された旨の報道が目立っております。 www.asahi.com >6月13日、G7サミ…

補論:DFFTに関する協力のための 2021年G7ロードマップ(附属書2)拙訳

前回から話が飛んですみません。2021/04/28~/29、G7デジタル技術大臣会合が行われたので、今後文章作成予定のG7外相会合やサイバー司法に関わる件として少しだけ触れておこうと……本論の前の補論という形で申し訳ありません。 ※※※※※※※※※※※※※※※ G7デジタル・…

安倍政権最後の外交:京都コングレスとサイバー司法

2021/05/24訂正:最下段の一節について、IEG→国連総会決議74/247に訂正いたします。最下段の一節は同決議およびIEGの活動を引き継いだと称するサイバー犯罪アドホック委員会に関係するものです。 *************** はじめに 2ヵ月以上のご無沙…

茂木外相の『包容力と力強さを兼ね備えた外交』とアフリカのFOIP:及び更新休止のお話

安倍前首相が主導した『地球儀を俯瞰する外交』を継承発展させたという、茂木外相の外交方針『包容力と力強さを兼ね備えた外交』。 実のところ今まで「包容力は言ってみますと,多様性を尊重し,調整力を発揮する。そして力強さは,リーダーシップをとって行…

小ネタ:ミャンマー軍の国家権限掌握

前回のブログで、ジェノサイド認定絡みでミャンマー・ロヒンギャの話に触れた早々、当のミャンマーで事実上のクーデターが発生しているとのこと。 www.cnn.co.jp 民主化のプロセスに逆行する行為への抗議と関係者の解放を求める日:外務省・米:US.Departmen…

毎日記事「外務省のウイグル『ジェノサイド』認定拒否」報道について

2021/01/26、ウイグル弾圧について外務省出席者が「日本として『ジェノサイド』とは認めていない」と発言した旨、毎日新聞が報道しました。 当該記事に対して捏造と断じたり、日本政府がウイグル弾圧に対して主なアクションを起こしていないと落胆したり、短…