安倍首相辞任・ポーランド首相の反応

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2020/08/28、首相が記者会見の場において職を辞する旨発表されました。


この安倍首相の政策、或いは第四次再改造内閣の評価については後日記す予定ですが、今はまだその時とは考えていません。今政権の最後まで、その活動を見続けようと考えています。


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……但し各国首脳の反応を覗いていると、ひとつ感じた事があります。


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acenews.pk

パキスタン首相 Imran Khan


en.mehrnews.com

イラン外務省報道官 Saeed Khatibzadeh


www.dailysabah.com

トルコ外相 Mevlüt Çavuşoğlu


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……巷ではオーストラリアからの発信をもとに、インド太平洋戦略・対中包囲網を確立したルールベースの国際秩序・価値観外交の立役者として、安倍首相を評価する向きが強まっています。


しかしルールベースの国際秩序や価値観を共有しない側、パキスタンやイラン、トルコも国際秩序側の諸国家よりいち早く安倍首相に対する感謝と慰労のコメントを発信しているのです。


国際的に「価値観を共有しない」とレッテルを貼られた国家に対し、安倍首相が支援や対話・仲介を通じて対抗勢力との対話を促してきたからこそ、これらの国家からもコメントを受け取る事が出来たのだろう、と私は考えます。


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今回の首相辞任に際し、ポーランド・Morawiecki首相はポーランド語・英語・日本語の三ヶ国語で感謝と慰労の意を示しました。


ヴィシェグラード四ヶ国(ハンガリーポーランドチェコ・スロバキア)とEUの距離感に加え、2019年早春以降アメリカとの関係まで悪化していたポーランドは、同年4月末の安倍首相との会談を経てアメリカとの関係を改善。他のヴィシェグラード国にひと月遅れてトランプ大統領との首脳会談まで漕ぎ着けました。

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G20大阪サミット直前の外遊に際し、サミットとは関係無いヴィシェグラード会談に臨んだ安倍首相により、ポーランドは国際的な孤立を免れた訳です。


モラヴィエスキ首相のコメントは、単にこの会談を上手く対米融和に活用出来た事への感謝や、安倍首相辞職の機会に親日アピールを行うためだけの目的で記したものではありません。


現在もEUアメリカ・中国との距離感調整は難しく、更に加盟国の方向性がバラバラになったヴィシェグラード四ヶ国において、今期議長国となったポーランドは微妙な舵取りを求められています。勿論その判断には日本が推し進める価値観から逸脱するものも含まれます。


米中EUによるイデオロギーの押し付けが渦巻く中で相手を自国側に取り込むのではなく、相手の立場を考慮した上で自国側の変更も含めた対話と仲介を推し進めた安倍外交の価値を、モラヴィエスキ首相が改めて日本や国際社会に訴えようとしているのではないでしょうか。


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そして残念ながら第四次再改造内閣の……茂木外相に代表される外交はその趣を変える、これまでに培った国際的信用を消耗して国益を創出する、そういう総決算的色彩の強いものでした。


特に最近交流が少なくなったイランやパキスタンのコメントには、この流れが安倍首相の辞任により加速され、今後日本が仲介を担う役目を負うことが少なくなる事を予見した様子が感じられるのです。