第四次安倍改造内閣の回顧(2)

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『第四次安倍改造内閣の回顧(1)』
https://tenttytt.hatenablog.com/entry/2019/10/10/135945
の続きとなります。


なお一連の文章の目次については、下記ページまで
https://tenttytt.hatenablog.com/entry/2019/10/10/135429


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2019/05/02、アメリカ・ポンペオ国務長官による対イラン原油輸入制裁免除の期限失効宣言を皮切りに、トランプ大統領の意向による国際状況への揺さぶりが大きくなりました。

中国・イランに対する制裁、或いは北朝鮮の短距離ミサイルに対するコメントを通じ、同盟国側にも揺さぶりをかける……国際秩序の盟主自らG20サミットを目前に、国際秩序の基盤たる基本的価値を共有する各国家のビジョンまで不透明にする行動に出たのです。


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トランプ政権の行動に際して、第四次安倍改造内閣外交政策は方針転換の準備に入ったようです。

自由貿易の旗手として特にアメリカと各国の調整に努め、国際秩序への挑戦に協調して応じる立場を退き、あくまでアメリカを中心とする国際秩序の余慶に与る二国間関係への方針転換。

この転換については、G20つくば貿易・デジタル経済大臣会合の議長声明やそれに先立つOECD閣僚会合での姿勢、或いはTICAD7横浜行動計画の姿勢など、転換に鋭く対応した省庁主導の政策にも現れています。


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特にトランプ政権が外交政策を転換した国、例えば対北朝鮮・イラン・ロシアに対してこの時期に行われた、奇妙で連結性に欠ける二国間交渉も、この方針変換が根底にあったと考えないと整理がつきません。

  • 北朝鮮に対し、条件を付けない首脳会談を提唱
  • イランに対し、対米融和を求める無理目の首脳会談
  • ロシアに対し、二島返還や平和条約締結には見切り


これらの外交は長年解決の目処の立たなかった論点、あるいは自国の火種を持ち込む国家との関係をリセットし、第三者に判りにくい形で撤退あるいは他国に主導権を譲渡していくためのものと考えられるのです。

※イランについて、2019/09/25国連総会での日イラン・日米首脳会談の報道から「日本は米・イラン外交に未だ積極的」と思われる方には、国連総会ではドイツ他欧州諸国が同様の会談を行っていることを付け加えておきます。

10/1の防衛閣僚電話会談も、一見日本の積極性をアピールするように見えながら、実際の会談内容はイラン海域への自衛隊派遣に対する大義名分を得ただけ、という側面もあるのです。


対米あるいは対中国の二国間交渉については、5月以降の大きな変化は有りませんでしたが、
これは既に米中対立が深刻な状況下で、日本の政策変更がアメリカ自身を±どちらの方向にも刺激しないよう配慮した結果に過ぎないでしょう。

G20での会談を含め、渦中にある米中双方水入らずでの話し合い。それ以外のアクションを望まなかった訳です。


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G20大阪サミット等国際会議が終了し次第、「基本的価値に基づく国際秩序」という多国間イニシアティブを後退させ、各国個別のイニシアティブで柔軟に二国間外交を展開出来る体制への変換を図る。

多国間イニシアティブを尊重しないトランプ政権の外交に鋭く対応するためのものです。


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問題は、韓国でした。


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『第四次安倍改造内閣の回顧(3)』に続きます。
https://tenttytt.hatenablog.com/entry/2019/10/10/144308