即位の礼・来賓会談一覧…補足文章

『即位の礼・来賓会談一覧』の補足文章を作成いたしました。


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1: 即位の礼と同時期に行われた国際会合その他


……即位の礼及び会談が行われた10月下旬に行われた他国主催の主な国際行事と、日本主催の行事について


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1-1: ロシア・アフリカサミット


ロシア・アフリカサミットが初開催、多様な分野で経済連携を推進
(JETROホームページ 2019/10/31)


…日本ではTICADの形で行われる、アフリカ諸国の首脳などを集めて行われる協力会議です。
ロシアからの来賓が首脳級でなかった理由であると共に、アフリカ来賓国のうち日本で閣僚級会談に応じたのが10ヶ国程度に収まった理由こそ、このロシア・アフリカサミットではないかと思われます。

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1-2: NAMサミット


18th Summit of Heads of State and Government of Non-Aligned Movement gets underway in Baku
(Chinadaily紙 2019/10/28)


今回アゼルバイジャンが主催した、非同盟運動(Non-aligned-movement)参加国による会合。東西どちらの陣営にも公式には所属していない国家による会合です。
日本からは日本アジア・アフリカ・ラテンアメリカ連帯委員会が日本で唯一会合に参加している団体との事ですが、今回のアゼルバイジャン会合については確認出来ませんでした。なおロシア来賓が訪日に際して同委員会の代表理事と会談を行っています。

1-3: インドネシア大統領就任式


ジョコ大統領、2期目の就任演説で2045年の先進国入り表明
(JETROホームページ 2019/10/25)


ブルネイ国王や米露来賓など、即位の礼来賓と被る参加者のほか、近隣各国首脳が出席しています。


即位の礼に出席した諸国は、これら会談を掛け持ちしたり、別の来賓を外遊させたりしていました。


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1-4: G20岡山保健大臣会合


G20岡山保健大臣会合HP


……G20閣僚級会合として、即位の礼数日前に行われたのがこの岡山での保健大臣会合です。
会合参加者のリストが見当たらず、ngazete紙 2019/10/20able紙 2019/10/21Dutchnews紙 2019/10/18
などで確認出来る名前を追った限りですが、保健大臣会合後に即位の礼来賓に合流した等の報道はありませんでした。

なお、同会合についてはインドが積極的に取り上げていますが……逆に言えばインド以外の報道は微妙に冷淡であり、インド側が記す二国間会談についても他国では全く触れられていません。

※この保健大臣会合でも触れたUHCについては、いつか文章に出来ればと思っています。

1-5: G20北海道観光大臣会合とTEJ観光大臣会合


G20観光大臣会合HP
TEJ観光大臣会合…ツーリズムEXPOジャパンHP
詳細はトラベルWATCH紙2019/10/25が詳しいかと。


……こちらは、同時期に行われたG20の観光大臣会合と、それに並行する形で行われたツーリズムEXPOジャパン主催の観光大臣会合です。より多くの各国観光関係者が訪日する事を目的としていたのかも知れませんが……片や北海道、片や大阪。南アフリカやスイス・ベトナムの関係者は両会合掛け持ちだったようです。

恐らく随伴来賓がこれらの会合に参加した可能性はあるのですが、トルコのMehmet Ersoy観光大臣のような主来賓が参加した話は出て来ませんでした。


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1-6: おまけ・GCF第一次増資ハイレベル・プレッジング会合

緑の気候基金(GCF)第1次増資ハイレベル・プレッジング会合(結果)
(外務省HP 2019/10/28)

……鈴木外務副大臣が出席予定であったものが、急遽欠席することとなった異例の会合です。

さて、鈴木外務副大臣が急遽キャンセルした理由ですが、出張前日に鈴木氏が出席した「日サウジビジョン2030閣僚会合(外務省HP 2019/10/24)」、菅原一秀経産相が主催した会議が原因ではないか、と思われます。

元々茂木氏と菅原氏は経産省時代の大臣・副大臣という間柄でした。恐らくはこの両者の関係を基に、両省庁で連動した外交政策を計画していたのではないでしょうか。

実際のところ菅原氏の失脚が最も堪えている閣僚は、巷で囁かれている菅官房長官ではなく茂木外相だったのではないか……というのが、私個人の結論です。


今後の外交に響かなければ良いのですが。


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2: 来賓国の外交


……来賓として訪日した各国代表者にとって、即位の礼は安倍首相や日本政府との繋がりの他、民間等との接点を持つための格好の機会となりました。

また、同じく即位の礼に際して訪日した諸国来賓との会談を行うための格好の場でもありました。


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2-1: 外務省HPに触れられない会談など


主に行われたのが、友好議連による会談です。逢沢一郎議員の名前が多く出ているのはそのためです。

また、衆参両議院の議長(大島理森山東昭子自民党議員)及び副議長(赤松広隆小川敏夫立憲民主党議員)との会談も行われています。

安倍内閣の閣僚が省庁の代表として会談したのは、
前述の菅原前経産相のほか、河野防衛相・河合前法務相・小泉環境相が、それぞれの省庁が関係する事案について各国来賓と話し合いを行っています。

※西村経済再生相や北村地方創生相も各国来賓との会談を行っていたようですが、こちらは友好議連の立場でのもの、と考えられます。


……もちろんこれらの会談、更に民間企業や大学などの訪問についても、事前に外務省からの打電があったものでしょう。

いわば即位の礼に伴う諸会談は、本編で挙げた首脳会談等も含めて、外務省職員の地道な二国間外交の表出と言えるのではないでしょうか。

その目的はあくまで省益・職員個人の利益であり、国益に結び付かないものかも知れません。しかし時の政権や外相が外交政策を行うためのきっかけは、凡そそれまで培われた外務省職員による外交にかかっていると思っています。

※なお、各国の友好議連会長の逢沢一郎議員が、来賓との会談に応じる最中のTwitter中国による邦人拘束を非難していることを付記いたします。


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2-2: 即位の礼に際して行われた他国間外交


世界有数の国家による、かつ政治色の少ない儀式に際して来賓国同士での会談、或いは来日前後にアジア等への外遊が行われたのは本編の通りです。

特に東中欧諸国による他国間会談が目立っていますが、やはり対EUを意識した近隣国との外交的連携、あるいはEU依存脱却を視野に入れた日本を始めとしたアジアとの経済的連携が念頭にあるのでしょう。

……なお、他国間会談として今回目を引くのはやはり、日コソボ交流十周年セレモニーへのアルバニア大統領出席でしょう。

Albanian daily news紙 (2019/10/23)

流れは本編アルバニアの項で触れていますが、
EU首脳会議で「セルビアコソボとの対話再開が基本条件」としてEU加盟を拒否されたアルバニアに対し、日本側がアルバニアコソボ間の対話再開のきっかけを作る形になりました。
※とはいえ直後のミニ-シェンゲンに関する西バルカン諸国会合では両者…というよりセルビア=コソボ間の対立が改めて浮き彫りになりましたが
Western Balkan leaders plot their own 'mini-Schengen' zone
(Euronews紙 2019/11/11)

「基本的価値の下で結束する欧州を支持し,『西バルカン協力イニシアティブ』の下,日本もアルバニアEU加盟に向けた取組を支援していく」という安倍首相の言葉を体現する行為だった訳です。


※あともう一つ、アメリカ民主党ナンシー・ペロシ下院議長が訪日直前のヨルダン・アフガニスタンを訪問した事も注目すべきでしょう。

ペロシ米下院議長、アフガニスタンを予告なしに訪問
(Reuter紙 2019/10/19)

ペロシ女史は元々アメリカ来賓決定に際し、結果としてペンス副大統領らアメリカ重鎮の出席を妨害した張本人であり、
即位礼に米からチャオ運輸長官が出席 ペンス氏は見合わせ
(産経新聞 2019/10/05)

更に来賓2ヶ国に訪日直前に手間をかけさせる事で(アフガニスタンに至っては予定無しの電撃訪問)、即位の礼に際して二重にケチを付けた訳ですから。


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3: 韓国外交部の話


……本編韓国の項で付けた4つの引用の繋がりが判りにくいかと思いましたので補足。


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韓・インド首脳会談 協力拡大を議論
(KBS world radio 2019/06/28)

G20大阪サミットで行われた韓印首脳会談ですが、この会談が行われた時間帯を調べると、対日的な色彩が巧妙に演出されたものでありながら、文在寅自身がその功績を台無しにした事が判明します。

実はこの首脳会談が行われた裏では、当初から安倍首相がG20大阪サミットの目玉として考えていたデジタル経済ルールの新枠組み、『大阪トラック』立ち上げ宣言が行われておりました。

首相「大阪トラック」の開始宣言 デジタル経済ルール作りの枠組み G20
(産経新聞 2019/06/28)

この『大阪トラック』に際して、インドは事前に行われていた閣僚級会合でも反対の立場をとっていましたが、G20当日の会合では遂に会議室に入ることすら拒否しました。

そしてインド・モディ首相が欠席したこの会合を、なんと文在寅はホン・ナムギ経済副首相に代理出席させ、その裏で首脳会談に及んでいた訳です。
「ファクトチェック」文大統領、G20首脳7つのイベントのうち4つの不参加
(朝鮮日報 2019/07/08)

当然ながら、『大阪トラック』を拒否したインド側は勿論、この日印対立に目を付け会談のセッティングを行った韓国外交部側も、文在寅からモディ首相に対してデジタル経済の枠組みに対する支援の申し出を期待していたかと思われます。
というより会合に欠席した両者の会談なのですから、普通に後には退けない状況でした……が、会談結果を見る限り、デジタル経済への言及は為されなかったようです。

結局、外交部がセッティングした会談の最低限を、文在寅はクリア出来なかった訳です。

同様の話は、即位の礼での李洛淵の行動にも見られます。
せっかく他国の来賓が政治的にフラットな立場で集結するのですから、そのような場で二国間外交を仕掛けて韓国との繋がりを深める事は、それ自体で日本に対する圧力と成り得ます。
訪日前後に韓国を訪問したジョージアやスペインのように、日韓関係に干渉してアジアでの影響力強化に努めようとする国家は恐らく存在したでしょう。しかし李洛淵は日本国内の議員団や経団連との会合に終始し、二国間外交を仕掛ける事は無かったようです。

この辺りを見ると、韓国政府中枢部の外交についての不信と無知が垣間見れるのではないでしょうか。

結局、韓国が日本で行った二国間会談は、
ロシアの観光庁長と面談するバクヤンオ長官
(Yonhapnews 2019/10/26)
G20観光大臣会合でのロシアとの会談だけだったと思われます。


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