第四次安倍改造内閣の回顧(4)

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『第四次安倍改造内閣の回顧(3)』
https://tenttytt.hatenablog.com/entry/2019/10/10/144308
の続きとなります。


なお一連の文章の目次については、下記ページまで
https://tenttytt.hatenablog.com/entry/2019/10/10/135429


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韓国向け3品目の輸出管理厳正化について「韓国が不適切な管理を行っている」或いは「大量破壊兵器原料の危険国家への移出を止めさせたい」という国際的アピールを目的としていたなら、
安全保障に関するアナウンスを経産省主導で行ったことは失敗と言えます。

輸出管理があくまでワッセナーアレンジメント等に基づく軍事転用品の管理不備を指摘するのが目的であれば……国内政策担当の経産省のみが管轄だと勘違いされる方も多いようですが……アレンジメントに対応する三省庁、則ち経産省・外務省及び防衛省からそれぞれ指摘するべきものだからです。

特に管理品目の具体的検討・提案を行う防衛省からの「3品目は大量破壊兵器のデュアルユース品目」というアナウンスが無い状況では、韓国側から「日本独自の思惑で経済制裁をしている」と反撃されるのも当たり前でしょうし……

何より、日本政府が「韓国政府がデュアルユース品をどのように管理しているのか」自体を問い詰めたという話を耳にした事がありません。
もしそうであれば7/12、経産省における日韓官僚の面談も、韓国のキャッチオール制度の国内法・人員上……つまり文政権における政策上の欠陥を「説明」ではなく「糾弾」しなければならないものです。

ましてワッセナーアレンジメント自体は法的拘束力に基づく国際約束を伴わない紳士協定であり、
アレンジメントの枠組みの中から他国の政策不備を指摘糾弾することは可能であっても、政策不備を理由に自国の貿易政策変更まで踏み切る事は本来アレンジメントの性格を逸脱する行動です。


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もし「基本的価値に基づく国際秩序に挑戦する文在寅政権」だけに攻撃対象を留めるのではなく、経済制裁を「韓国」に課することが目的となってしまったなら話は別ですが。


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……先日発表された令和元年版防衛白書により、この岩屋氏の沈黙の理由が解明されました。
河野新防衛相のチェックが間違いなく入っている防衛白書に、今件の記載が無いのです。

つまり岩屋氏だけでなく新任の河野氏も、この件について公的なアナウンスを行わない方針であること。
韓国に対する輸出管理厳格化に最初から経済制裁を匂わせるイニシアティブが閣内で醸成されていたのです。


まさに、この時期の

・岩屋氏が発言しなかった輸出管理厳正化
・岩屋氏が強行した日韓防衛閣僚非公式会談

この双方に付随する出来事が、文在寅政権に留まらず『韓国』全体を制裁する政策へと日本をシフトさせるために利用された、ということです。


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『第四次安倍改造内閣の回顧(5)』に続きます。
https://tenttytt.hatenablog.com/entry/2019/10/10/151259