外交青書2019の要旨(2019/05/04内容変更)

2019/04/24、2019年度版外交青書の要旨と目次が外務省HPにて公開されました。

https://www.mofa.go.jp/mofaj/files/000471203.pdf
2019要旨
https://www.mofa.go.jp/mofaj/files/000471202.pdf
2019目次
https://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/bluebook/2018/html/index.html
参考:外交青書2018

なお、外務省HPによると
https://www.mofa.go.jp/mofaj/fp/pp/page23_002506.html

〉6月以降、令和元年版として販売を予定しています。
〉また、外務省ホームページへの全文(日本語・英語)掲載は秋頃を予定しています。

……との事ですので、2019青書の具体的な特徴を考えるのは、もう少し時間を置いてからにしようと思います。


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  • 「自由で開かれたインド太平洋『戦略』」
  • 「対韓外交から『未来志向』」


削除の件が昨日から騒がれていましたが、北方四島の件以外は既に、それまでの

日米安全保障協議(2+2)

https://www.mofa.go.jp/mofaj/na/st/page4_004913.html
※日米安全保障協議(2+2)については、別途内容を補足する文章を作りました。
https://tenttytt.hatenablog.com/entry/2019/04/24/231422

第198回国会での外交演説

https://www.mofa.go.jp/mofaj/fp/pp/page3_002672.html

「安倍首相が封印した『戦略』の二文字--訪中前に中国への刺激避ける?」

BusinessInsider紙 (2018/10/26)
https://www.google.com/amp/s/www.businessinsider.jp/amp/post-178169

の内容に触れていれば自ずと予想できた事です。


外相記者会見(2019/04/23)での
河野外相と東亜日報・金記者の会話

https://www.mofa.go.jp/mofaj/press/kaiken/kaiken4_000823.html

東亜日報 金記者】外交青書に戻りますけど,日韓関係の部分について,「未来志向」という表現が消えましたけれども,この部分について説明していただければ幸いです。

【河野外務大臣】「未来志向」が消えた?(以下略)

このわざとらしいやりとりには
「実際の外交内容より、言葉尻捉える方が大事か」という外相の思いを感じ取る事が出来るでしょう。


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2019/05/04補足:

4/23~/29の安倍首相欧米訪問を元に、改めて外交青書2019を振り返ると、


〉今世紀に入り、国際社会において、かつてないほどパワーバランスが変化しており、国際政治の力学にも大きな影響を与えている。

〉そして、国際社会においては、国家間の相互依存関係が一層拡大・深化する一方、中国等の更なる国力の伸張等によるパワーバランスの変化が加速化・複雑化し、既存の秩序をめぐる不確実性が増している。

〉こうした中、自らに有利な国際秩序・地域秩序の形成や影響力の拡大を目指した、政治・経済・軍事にわたる国家間の競争が顕在化している。

この部分の変更が浮き彫りになります。


因みに2018年度版では

〉21世紀に入り、中国やインドを始めとするいわゆる新興国の台頭や世界経済の重心の大西洋から太平洋へのシフトが指摘されてきた。

新興国の台頭は、世界経済の推進力となってきた一方、パワーバランスの変化をもたらしている。

……日本外交の脅威の対象が、自らの力で世界のパワーバランスを変えた中国ほか新興国から、
変化するパワーバランスを利用して既存秩序を崩壊させる国家へと変更されたわけです。

今回欧州で会談を行ったフランス・イタリア・V4諸国(ハンガリーポーランドチェコ・スロバキア)のうち、フランス以外はまさに

『パワーバランスの変化を利用して、自らに有利な国際・地域秩序の形成や影響力の拡大を目指す』

EU懐疑派の代表国家であり、G20直前のこの時期にあえて会談を行ったのも(会談の結果があえてこの時期に行う必要のあるものではなかった事も含めて)、外交青書の内容変更に象徴される新しい外交視点の現れだったのではないか、と考えています。


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今回取り上げた安倍首相の外遊については、別途文章を作成中です。もう少々お待ち下さい。