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はじめに: 『大阪サミットの狭い会議室』について
……上記の話のみに興味のある方は、当記事の一番下の方までスクロールして頂くか、下記の一番下
↑『おまけ: 大阪サミットの狭い会議室の正体』↑
までジャンプして頂ければ幸いです。
……そこまでの話は引用含めて量が多く、いきなりここの文章を読まれる方には結構大変だと思いますので……
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『大阪トラックの路線変更(3)』
https://tenttytt.hatenablog.com/entry/2019/06/29/205138
からの続きとなります。
なお前述した通り、内容の割に引用含め文章量も多くなってしまいました。ご容赦願います。
なお大阪トラック関連の目次については
https://tenttytt.hatenablog.com/entry/2019/06/29/223127
こちらをご覧ください。
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7. 省庁による国際調和の無視と、帰結としての“大阪トラック”
……さて、毎日新聞やMedianama紙あるいはCyberthread紙が『盛り込まざるを得なかった』と評した文言
〉信頼を構築し、データの自由な流通を促進するためには、国内的及び国際的な法的枠組みの双方が尊重されることが必要である。
〉我々は、異なる枠組みの相互運用性を促進するために協力するとともに、開発に果たすデータの役割を確認する。
………………………………………
ですが実は第6章で触れた『電子商取引に関する共同声明 日本による探査研究の提案』ですら、国内・国際法双方の相互運用性を満たすための仕組みは組み込まれていました。
……それが一旦、国内ルール整備の側面から省庁や専門家などで検討する段となると、国際間の調和を求める発想は打ち合わせを重ねるごとに薄れていき、
ダボス会議以降(第1章で記したように)安倍首相が再三G20の場で主要議題にすると釘を刺したにも関わらず、この国際的調和を無視する傾向が元に戻ることなく……
遂に6/8貿易・デジタル経済大臣会合では、まさに欧米的なルールを各国にごり押しする形にシフトした結果、異なるデータガバナンス・ポリシーとの衝突を起こすに至った訳です。
この章ではその過程と帰結を、省庁が主導した諸会議の内容から追ってみたいと思います。
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7.1 『電子商取引に関する共同声明 日本による探査研究の提案』にも盛り込まれた国際調和
まず2018年4月にWTOに提出された『電子商取引に関する共同声明 日本による探査研究の提案』の話ですが、こちらの第三章に以下の一節が記されています。
A. Regulatory Frameworks Facilitating E-Commerce/ Digital Trade
(a) Promoting Harmonization and Interoperability of Regulations
“In order to create an enabling environment for e-commerce and digital trade, a range of domestic regulatory frameworks related to e-commerce and digital trade need to be put in place. ”
“However, variations of such frameworks across countries could pose obstacles for cross-border
businesses operators.”
“The WTO has a role to play in promoting intergovernmental activities at the regional and international levels to achieve harmonization and complementarity among different frameworks, which is essential for facilitating cross-border e-commerce and/or digital trade.”
A.電子商取引/デジタル貿易を促進する規制の枠組み
(a)規制の調和と相互運用性の促進
〉電子商取引およびデジタル貿易を可能にするために、国内の法的枠組みを整備する必要があります。
〉しかし、国家間でその枠組みが異なると、クロスボーダービジネスが困難になる可能性があります。
〉国家間で異なる枠組みの調和と相互運用性を達成するため、WTOには国内的及び国際的な働きかけを、各国政府を跨いで行う役割があります。それはクロスボーダーの電子商取引/デジタル貿易の促進に不可欠なものであります。
……この文書自体、前章で記したように安倍首相のダボス会議演説とは根本的に異なる性格のものであり、また他の箇所を読めば、電子商取引のクロスボーダー化を一方的に押し付ける為の活動をWTOに求めるものであることは明らかではあります。
しかし少なくともWTOに対して、異なる枠組みを調和させるための働きかけを各国に行う事を呼び掛けており、複数の国際的立場(この時点では特に中国)を如何にWTOルールの俎上に乗せうるかを配慮したことが見えてくるかと思います。
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7.2 『デジタル時代の新たなIT政策の方向性について』
その後、ダボス会議のひと月前(2018/12/19)、
内閣官房下IT総合戦略本部にて第75回高度情報通信ネットワーク社会推進戦略本部 第6回官民データ活用推進戦略会議が開催され、
『デジタル時代の新たなIT政策の方向性について』
https://www.kantei.go.jp/jp/singi/it2/dai75/siryou1.pdf
が協議されました。
……この会議以降、Society5.0など未来のIT政策についての協議が各セクターで活発に行われることになるのですが、実はこの会議について首相からの指示として
https://www.kantei.go.jp/jp/98_abe/actions/201812/19it_kanmin.html
〉データを活用したイノベーションを起こすためには、セキュリティやプライバシーについて、透明性が高く公正かつ互恵的なルールの下で、自由にデータが流通する環境を整備しなければなりません。
〉このため、世耕大臣を中心として、個人情報や重要産業データを適切に保護しつつ、我が国主導で、自由で開かれた国際データ流通圏を世界に広げていくための国際連携を進めてください。
〉また、その前提として、関係大臣において、個人情報保護法を始め必要な国内の法令整備と、体制強化に直ちに着手してください。
首相としては、この『デジタル時代の新たなIT政策とその方向性について』を根拠とした諸会議は、DFFTを世界に広げていくための“国際連携をわが国主導で行うこと”こそが狙いであり、国内整備はその基礎部分に過ぎないことを示唆しておりますが、
実はこの“国際連携”については、『デジタル時代の新たなIT政策とその方向性について』本文では触れられていません。
恐らくこの時点で、首相には当議題をG20の主要議題の一つとする腹案があり、それ故に会議資料などで軽視されている“国際連携”の点をあえて重視するよう、関係省庁に促すつもりだったのではないでしょうか?
ですがこの会議以降の動きを見ると、この首相の願いは全くと言って良いほど、各省庁に無視されることとなります。各会議に携わった専門家の指摘に耳も貸さず。
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7.3 派生した会議での変節:経産省
まず、上記『デジタル時代の新たなIT政策の方向性について』の前日、同会議に先駆けて経産省主導で作成された
『デジタル・プラットフォーマー型ビジネスの台頭に対応したルール整備の基本原則』を見ましょう。
https://www.meti.go.jp/press/2018/12/20181218003/20181218003.html(経産省HP)
https://www.meti.go.jp/press/2018/12/20181218003/20181218003-1.pdf(詳細)
https://www.meti.go.jp/press/2018/12/20181218003/20181218003-2.pdf(概要)
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※デジタルプラットフォーマーとはデータを活用して第三者に「場」を提供する事業者のことですが、寧ろ中華人民共和国電子商務法で「電子商務プラットフォーム経営者」と定義される
“電子商務取引において取引相手及び関連する主体にインターネット経営の場所、取引マッチング、情報提供などのサービスを提供する組織”
の方が分かり易いでしょうか。平たく言えば、GoogleやAmazonの事です。
この『デジタル・プラットフォーマー型ビジネスに対応したルール整備の基本原則』の発表は、翌日に発表された『デジタル時代の新たなIT政策に関する方向性について』の雛型にあたるだけでなく、
日本主導の国際DFFT体制下において、各国が如何に国内ルールを調整していくべきか、そのテストケースにもあたるわけです。
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……しかし、この7つの基本原則のうち
(7)国際的な法適用の在り方とハーモナイゼーション
は、
デジタル・プラットフォーマーを巡る規律の在り方を検討するに当たっては、国際的なハーモナイゼーションも志向する方向で検討を進める。
という、弱い言葉での国際連携しか含まれないものでした。
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実はこの基本原則を検討する際の事前ディスカッションでは
https://www.meti.go.jp/press/2018/12/20181218003/20181218003-3.pdf
『デジタル・プラットフォーマーを巡る取引環境整備に関する中間論点整理』
○ デジタル・プラットフォーマーがグローバルな活動を行っていることを考えると、デジタル・プラットフォーマーの規律の在り方についても国際的なハーモナイゼーションを志向する必要はないか。
○ こうした諸外国の動向等を踏まえ、国際的なハーモナイゼーションを志向した実効的なデジタル・プラットフォーマーの規律の在り方について、自主規制と法規制を組み合わせた柔軟な手法である共同規制を含め、国際的に連携して検討していくことが必要ではないか。
……と、識者は国際的な連携・ハーモナイゼーション『を』志向する必要について指摘していたはずなのですが、これらの言説を経産省が取り纏める段になって、
“国際連携『も』志向する方向で検討”
という形に変えられていたのです。
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7.4 派生した会議での変節:総務省
このような扱いは、経産省主導の会議だけではありません。
総務省主導による「デジタル変革時代のICTグローバル戦略懇談会」は、
http://www.soumu.go.jp/main_sosiki/kenkyu/ict_gs/index.html
Society5.0に向けた情報技術の研究・社会実装の他、
望ましい国際ルールの姿の検討や、G20貿易・デジタル経済大臣会合その他国際会合における日本の国際戦略を検討するなど、
他セクターのIT戦略関連会議よりもG20での発表内容に触れる内容を協議する場となっていました。
ダボス会議の約一週間後、2019/01/29に行われたこちらの国際戦略ワーキンググループ会合では
http://www.soumu.go.jp/main_content/000632246.pdf
〉ICTの国際戦略については、アメリカ、EU、中国、インド等の諸外国も検討を行っている。世界の主要プレイヤーの国際戦略について情報があれば今後の議論の参考になるのではないか。
〉国際戦略は国際的な視点から検討すべきであり、現在、マルチの会合でICTに関する議論のフォーカスがどこにあるのかを十分に認識する必要がある。
国際情勢を見つめながら各国議論の焦点を認識すべき、という意見が出ていましたが、
この意見は第2回以降のワーキンググループ会合の議題・意見として扱われることはありませんでした。
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また、第2回会合議事録のP16~P18、岩田(名簿に記名されておらず詳細不明。岩田一政日本経済研究センター理事長か?)・西尾(章治郎阪大総長。今回の座長)・三友(仁志早大大学院アジア太平洋研究課長)氏のやり取りに、
http://www.soumu.go.jp/main_content/000623390.pdf
データ流通に際し、データのオーナーシップに対する各国のポリシーの違いを念頭に、DFFTを国際展開する場合のアレンジメントの必要性を論じたものがあります。
さらにP33~P34の増田寛也:東大公共政策大学院客員教授は、“Ethics(倫理)”という言葉を用いて
G20のような国際的な場で、DFFTのうち特にwith Trustの部分や、人権・知的財産権を構成する理念の部分で日本の立場を明確に主張することを提唱していました。
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……しかし、やはりこれら専門家の意見は反映されませんでした。
『G20茨城つくば貿易・デジタル経済大臣会合及びその後に向けた方向性』では
http://www.soumu.go.jp/main_content/000622118.pdf
G20貿易・デジタル経済大臣会合での論点は
1)デジタル化による SDGs 達成への貢献
2)データの自由な流通と利活用の促進
3)AI/IoT の利活用の促進と環境整備
4)サイバーセキュリティの確保
と、4つの論点全てに力を割り振る旨が決定したのです。
……………………………………
※この件につき、複数の専門家からは事前に
「論点にメリハリを付け、特に首相が主張する2)の論点を強調すべき」
と指摘されたにも関わらず、省庁側が押し切る形となりました。
……なお、実際の貿易・デジタル経済大臣会合の閣僚声明では
https://www.meti.go.jp/press/2019/06/20190610010/20190610010-2.pdf
2.データフリーフローウィズトラスト
3.人間中心の人工知能(AI)
4.ガバナンスイノベーション
5.デジタル経済におけるセキュリティ
6.SDGsと包摂性
更に5つに分割された上、DFFTの概要について5項目のうち最小限の言及で済まされるという扱いとなっています。
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7.5 そして6/28、新たな『IT大綱』と新たな『大阪トラック』
……かくして、これら各省庁主導の議論を経た
『デジタル経済時代の新たなIT政策の方向性について』は2019/06/28に新たに『デジタル時代の新たなIT政策大綱』へとバージョンアップされましたが、
https://www.kantei.go.jp/jp/singi/it2/dai76/siryou1-1.pdf
既にこちらでは国際的なハーモナイゼーションを求める姿勢は見られません。それどころか、このIT大綱を踏まえて作成された
https://www.kantei.go.jp/jp/singi/it2/detakatuyo_wg/pdf/report.pdf
『データ流通・活用WG第二次とりまとめ』の中で
第4章 更なるデータ流通・活用に向けて
4.1 今後の取組の方向性
〉④ パーソナルデータや産業データ等を含めたデータ全般の円滑な流通のため、情報銀行やデータ取引市場など我が国独自の取組を含めたアーキテクチャの定義とデータ構造の標準化を実証実験等を通じて推進する。
〉その際、信頼性(トラスト)の確保されたデータ流通を実現するため、データの信頼性(真正性、完全性や品質の確保)、仕組みの信頼性(情報銀行やデータ取引市場の認定)の確保に向けた取組を継続
する。
〉また、企業間等でデータ流通のエコシステムが成立するためのインセンティブ設計も重要。これらについて、DFFT(Data Free Flow with Trust)の実現の観点から、当初から米国・EU 等の類似の取組や技術標準との相互運用性を確保しつつ検討を行う。
……と、完全に欧米のみとの調和を図る姿勢に切り替えられてしまいました。
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そして同じ6/28、国際調和の側面を蔑ろにした省庁側の尻拭いを、安倍首相が自ら行なう象徴的イベントが行われました。
大阪サミット中に行われたサイドイベント
『デジタル経済首脳特別イベント(大阪トラック)』です。
https://www.meti.go.jp/press/2019/06/20190628001/20190628001.html
経産省HP 2019/06/28
〉デジタル経済、特にデータ流通や電子商取引に関する国際的なルール作りを進めていくプロセスである「大阪トラック」を立ち上げる旨の「デジタル経済に関する大阪宣言」を発出
https://www.meti.go.jp/press/2019/06/20190628001/20190628001_02.pdf
G20メンバーではインド・インドネシア・南アフリカを除く各国が支持する形となりました。
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〉本日、我々は、2019年1月25日にダボスで発出され、78の世界貿易機関(WTO)加盟国が名を連ねる電子商取引に関する共同声明に参加する他のWTO加盟国と共に、ここに、国際的な政策討議、特に電子商取引の貿易関連の側面に関するWTOにおける国際的なルール作りを進めるとの我々のコミットメントを示すプロセスである「大阪トラック」の立上げを宣言する。
この『デジタル経済に関する大阪宣言』は、
6/8貿易・デジタル経済大臣会合において日本側が、DFFTに関する国際協議もそこそこにWTOでの電子商取引ルール作りを主張した結果、相反するデータガバナンス・ポリシーを持つインド等の反発を招き、
https://tenttytt.hatenablog.com/entry/2019/06/29/205138
閣僚声明に盛り込めなかった部分を補完するものです。
いわば「大阪トラック」は、国際調和を無視して政策を推し進めようとした省庁側の尻拭い役となり
……G20メンバーに離反者がいる前提の宣言に駆り出されたがため、翌日発表されたG20首脳宣言『大阪宣言』にその名が記される事はありませんでした。
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G20首脳宣言『大阪宣言』より:
〉11.データ、情報、アイデア及び知識の越境流通は、生産性の向上、イノベーションの増大及びより良い持続的開発をもたらす一方で、プライバシー、データ保護、知的財産権及びセキュリティに関する課題を提起する。
〉これらの課題に引き続き対処することにより、我々は、データの自由な流通を更に促進し、消費者及びビジネスの信頼を強化することができる。
〉この点において、国内的及び国際的な法的枠組みの双方が尊重されるべきことが必要である。このようなデータフリーフローウィズトラスト(信頼性のある自由なデータ流通)は、デジタル経済の機会を活かすものである。
〉我々は、異なる枠組みの相互運用性を促進するために協力し、開発に果たすデータの役割を確認する。
https://www.g20.org/jp/documents/final_g20_osaka_leaders_declaration.html
G20大阪サミット公式サイトより
https://tenttytt.hatenablog.com/entry/2019/07/09/113911
(NHK記事における大阪宣言全文より抜粋)
※2019/08/24訂正:大阪宣言全文が公式サイトに掲載されていた事を確認したため、NHKベースの上記ページは閉鎖いたします。
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首脳宣言の付属文書に採用されなかった『デジタル経済に関する大阪宣言』にはDFFTの文字はありません(首相スピーチには含まれていますが)。
首脳宣言たる『大阪宣言』には大阪トラックの文字はありません。
そして6/8貿易・デジタル経済大臣会合を失敗へと導いた省庁側への戒めとして、またDFFTや本来の“大阪トラック”の本質として、『大阪宣言』には
〉国内的及び国際的な法的枠組みの双方が尊重されるべきことが必要
〉異なる枠組みの相互運用性を促進するために協力
この二つの言葉をあえて残したのだろう、と思われるのです。
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……さて、文章が感情的になってしまったのですが
今更ながら、私は各省庁による“大阪トラック”の変節や国際調和の視点の欠落について、糾弾するつもりはありません。
省庁側がここまで頑なな姿勢をとり続けた、その背景を調べていきたい、そう思っています。
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次回は、経産省と並んで“大阪トラック”をWTOにおける電子商取引ルール作りに紐付けた外務省の動きを追っていこうと思います。背景に触れることが出来れば良いのですが……
次回、『大阪トラックの路線変更(5)』に続きます。
https://tenttytt.hatenablog.com/entry/2019/08/02/194037
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おまけ:G20大阪サミットの狭い会議室の正体
https://mainichi.jp/articles/20190628/k00/00m/010/289000c
『首脳すし詰め 会場狭すぎた? デジタル経済特別イベント』
毎日新聞 2019/06/28
〉大阪市の国際展示場「インテックス大阪」で28日に開幕した主要20カ国・地域(G20)首脳会議(サミット)で、デジタル経済に関する首脳特別イベントに使われた部屋が「狭すぎる」と話題になっている。
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ネット界隈でも話題になった件ですが、
お察しの通り……これは7.5章で触れた“大阪トラック”の立ち上げと『デジタル経済に関する大阪宣言』の発出を行った会場でした。
つまり
「閣僚レベルが参加する程度のサブセッションだから狭い会場になった」のではなく、
- しかし、その前哨戦である閣僚会合(6/8貿易・デジタル経済大臣会合)での意見取りまとめに失敗したから、首相自ら取りまとめ直すためサブセッション扱いとして首脳会合の合間に設定し直した。
- 自由参加の会議ではなく、元々G20加盟国の一部が賛同しない(共同声明は出せない)事が明らかな会議であるため、G20首脳宣言とは無関係な「サブセッション扱い」であることを強調するため、別室で執り行う事とした。
……1/23ダボス会議での首相演説やMedianama紙の内容、6/8の閣僚声明、6/28の宣言全文などから、およそこの様な流れであったと推測されます。
https://www.kantei.go.jp/jp/98_abe/statement/2019/0123wef.html……ダボス会議の首相演説
https://www.medianama.com/2019/06/223-piyush-goyal-at-g20-data-is-a-sovereign-asset-free-trade-cant-justify-its-free-flow/……Medianama紙
https://www.meti.go.jp/press/2019/06/20190610010/20190610010-2.pdf……6/8閣僚声明
https://www.meti.go.jp/press/2019/06/20190628001/20190628001_02.pdf……6/28宣言
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この大阪トラックに関する話の流れを追いたい場合は、下記URLの目次から『大阪トラックの路線変更(1)』以降の私の文章を流し読みして頂ければ幸いです。
https://tenttytt.hatenablog.com/entry/2019/06/29/223127
ただし、これらの文章は一歩踏み込んで
「大阪トラックは当初の話から変節している」
という主張まで行っていますので、その辺は華麗にスルー推奨です。
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……今回の件については、恐らく自分以外の誰も取り上げていませんが、6/28にJapantimes紙に掲載された
“Abe heralds launch of 'Osaka Track' framework for free cross-border data flow at G20”
https://www.japantimes.co.jp/news/2019/06/28/national/abe-heralds-launch-osaka-track-framework-free-cross-border-data-flow-g20/#.XSNRX2lcU0M
〉安倍首相は当初G20サミットでのハイライトにすることを望んでいたが、後にサブセッションに格下げされました。
この報道が、最も正鵠を得ていると思われます。
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